サッカー日本代表の「ワールドカップ優勝宣言」に、イングランドのトゥヘル監督の答えは「夢を持つのは大事だ。実現するかどうかはともかく」 (3ページ目)
【イングランドは主力不在のメンツ】
その点、私たちの国の状況はどうだろうか。同調圧力という言葉が定着している島国で、何かを成し遂げるためには全体をあおる必要があると捉えられているのか、ワールドカップで8強にさえ到達したことのない代表チームが、次の大会で世界一になると宣言している。スコットランド戦後の記事でも書いたが、その事実にはどうしても違和感を覚えてしまう。
敵地ウェンブリーでイングランドを下したのは、まぎれもない快挙だ。ただし、相手はハリー・ケイン(バイエルン)やブカヨ・サカ(アーセナル)、デクラン・ライス(アーセナル)、ジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)という主力を欠いていた。
なかでも、エースストライカーのケインの不在は、実に大きかった。日本にも遠藤航(リバプール)や南野拓実(モナコ)、久保建英(レアル・ソシエダ)らがいなかったが、替えの効かない大黒柱かと言われると、ケインほどではないだろう。そもそも過密日程がすぎる現在のトップレベルのフットボールにおいて、代表の主要大会にベストメンバーで臨めるチームなど、ないかもしれないけれども。
ウェンブリーでの歴史的な一戦を終え、日本代表の選手たちは「浮かれたりはしていなかったけれど、充実した表情をしていた」と、日本サッカー協会の宮本恒靖会長が明かしている。
きっとそうだろうと思う。慎ましく、足もとを見つめ、常に準備ができているのが日本人選手のよさだと、かつて岡崎慎司と香川真司を指導したトゥヘル監督も言っていたように。
おそらく、今の日本代表が勝てないチームはないだろう。だが、世界一になるというのは、また別の話ではないだろうか。充実した英国遠征を終え、さらに兜(かぶと)の緒を締めて、一つひとつ歩みを進めてくれたらいいと思う。
著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
【図】イングランド代表「主力フルメンバー」基本フォーメーション
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