元U-20代表監督が将来性を見抜いた、小学校6年生の藤田譲瑠チマ「セレクションでそんなことをする子は初めて」 (2ページ目)
【早くして海外クラブへ行くことの是非】
── ヴェルディジュニアを率いていた時、FCバルセロナU-12の久保選手と対戦しましたよね?(2013年8月にヴェルディグラウンドで対戦。ヴェルディジュニアで山本理仁も出場している)
「彼は子どもの頃から指導者の間で有名な存在でしたが、バルサに移籍し、バルサの一員として日本に来て試合をするなんて、本当に『キャプテン翼』の世界のようでした。対戦相手にはアンス・ファティもいましたし、お客さんも2000人くらい集まったんですよ。そんな背景もあって、彼の存在は本当に衝撃的でしたね」
── 話を戻しますが、海外でプレーすることが成長につながる一方で、今回の大岩ジャパンでは関根大輝や平河悠といった、日本で大学まで進んだ選手たちが活躍しました。
「彼らの成長曲線は、大学に進学したからこそ得られたものだと思います。大学で自信をつけて努力を続けたことが、今の結果につながっていると感じます。本当にすごいですよね。
さっき話した『海外に行け』という話とは真逆になりますが、日本にも日本の面白さがあります。海外に行くことで日本のよさに気づくことがあるように、その逆もある。だから世界大会では、日本のよさを再認識することもあるんですよね」
── 先輩の日本代表選手たちは、後輩に「一日でも早く海外へ行け」と伝えているようですが、大学経由やJリーグで自分なりの基盤を作ってから──という道も悪くないのではと思うことがあります。
「そうですね。Jリーグは本当にすばらしいリーグだと思います。もちろん、斉藤光毅のように17歳でデビューして結果を出し、早く海外に行くのは理想的かもしれませんが、年齢的にはもう少し遅くても大丈夫ではないでしょうか。ただ、しっかり準備をしたうえで、というのが条件ですね。心の準備が整い、プレーも一定のレベルに達していることが重要です」
── 早く海外に行ったことで、オリンピックへの出場チャンスを逃した選手もいるのではないかと感じています。
「たとえば、そうして外れた選手が21歳だったとしたら、彼らが23歳で迎える次のオリンピックでは、また状況が変わるかもしれません。ただひとつ言えるのは、それぞれのクラブのトップチームでプレーしていることが必要だと思います。ほかの国を見ても、セカンドチームの選手が結果を出しているケースはあまり見られませんからね」
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