パリ五輪に向けて山本理仁は燃えている 見せつけたい「逆境を跳ね返す力」 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【やっぱり一体感のあるチームが一番強い】

── シント・トロイデンでの1年目はいかがでしたか?

「試合にはもっと出たかったですけど、充実感はありました。日本ではテクニックが求められてきましたが、ベルギーではフィジカルやスピードを求められるなど、これまであまりなかった要求だったのが新鮮でした。

 そこが成長したことによって、アジアカップでも強度を出せることができた。自信がついたので、シント・トロイデンに来た意味はあったと思っています。ヴェルディ、ガンバ、シント・トロイデン......3つの違うサッカーを経験できて、プラスになっていると感じています」

── いよいよオリンピック本番です。山本選手は何のために戦いますか?

「日本のため、仲間のため......という気持ちはもちろんありますけど、同時に『自分のため』という想いもあります。これだけの大舞台だから注目度も高いので、自分のステップアップも考えます。ただ一方で、近年は『メダルの壁』をずっと越えられていないので、それにチャレンジしたいです」

── 1968年のメキシコシティ大会(銅メダル)をのぞけば、最高位は4位(2012年&2021年)です。

「オーバーエイジなしで、(久保)建英や(鈴木)唯人も招集しなくて、絶対に(メダル獲得は)無理だって言われたりしますけど、逆に燃えますよね。アジアカップもいろいろと周囲から言われながら優勝を勝ち取ったので、僕らの『逆境を跳ね返す力』を見せつけたいです」

── このチームの特徴は『逆境を跳ね返す力』だと。

「全員が全員、信頼しあえています。スタッフも含めて一体感がありますね。これまでいろんなチームを経験してきて、やっぱり一体感のあるチームが一番強いと感じています」

── 最後にパリ五輪での目標をお願いします。

「誰が最初から銀メダルを目指します(笑)? やるからにはもちろん、金メダルを目指します!」

<了>


【profile】
山本理仁(やまもと・りひと)
2001年12月12日生まれ、神奈川県相模原市出身。東京ヴェルディジュニア→ジュニアユース→ユースを経て、2019年の高校2年時に飛び級でトップチームに昇格。同年5月のV・ファーレン長崎戦でJリーグデビューを果たす。2022年7月にガンバ大阪に完全移籍。2023年6月からベルギーのシント・トロイデンに期限付き移籍し、1年後に完全移籍した。U-15から各年代の日本代表に選出されている中盤の軸。ポジション=MF。身長179cm、体重73kg。

プロフィール

  • 了戒美子

    了戒美子 (りょうかい・よしこ)

    1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。

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