パリ五輪に向けて山本理仁は燃えている 見せつけたい「逆境を跳ね返す力」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【U-20ワールドカップが中止にならなければ...】

── それは精神的に、でしょうか?

「そうですね。僕らの世代はU-20もなくなってしまいましたので、これが初めての世界大会。なので、相手をリスペクトしてしまう気持ちもわからなくはないですけど、気持ちで相手が上に立っていると勝つのは難しいと思っています」

── 世界大会の経験のなさにコンプレックスを感じたことは?

「それはもう。U-20ワールドカップがあったら、もっと早く世界に出られたのかなって思っていました。藤本寛也という東京ヴェルディ時代の先輩がU-20ワールドカップ(2019年)で活躍して、それをきっかけにポルトガルへ移籍していったのを見ていたので、僕もそうなりたかったし、そういう機会があればと思っていた時期はありました」

パリの大舞台で山本理仁はどんなプレーを見せてくれるか photo by Getty Imagesパリの大舞台で山本理仁はどんなプレーを見せてくれるか photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る── U-20ワールドカップの開催が中止になった時、選手たちのメンタルはかなり大変だったと聞きます。

「地獄でしたよ。2020年のJリーグシーズンが終わった12月24日〜25日に突然、中止になると聞かされて......。ちょうどその日はU-19の合宿中だったんですけど、大会はなくなったのに合宿は終わらなくて、その時のモチベーションの保ち方は本当に難しかったです」

── それを乗り越えての五輪です。感慨深いですね。

「やっと世界大会、という感じです」

── シント・トロイデンへの移籍も、ようやく海外に出られたという感覚ですか?

「念願が叶った、という感じですね。『世界に出たい』とヴェルディ時代からずっと言っていたことなので。移籍できたのは、世代別代表での活躍も影響したと思うので、やっぱり代表というのは大事な存在です」

── 代表でのプレーが海外移籍につながるケースは多いですよね。

「多いですね。僕らの世代はヨーロッパで試合をすることが多かったので、『某クラブのスカウトが見に来ているらしい』という事前情報も耳にしました。それを知ると、代表で生き残りたい気持ちと同時に、アピールしたい気持ちも増して気合が入ります。ドイツ、スペイン、オランダ、イングランド......そういう国を相手にアピールできるので、けっこうメラメラしていましたよ」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る