サッカー日本代表・森保ジャパンの慢性的な病「攻撃力不足」の解消に求めたいこと (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【J2レベルの相手に守りを固めて...】

「いろんな戦い方ができるチームは強い」とは、5バックを正当化させる言い回しにほかならない。「賢く、したたかに」という表現も森保監督は頻繁にする。だが、J2レベルのチームに対し5バックで守りを固める作戦に出るとなると、「状況に応じて」ではなくなる。危ないと見るや後ろを固める。これはお約束、心の拠りどころになっていると言ってもいい。サンフレッチェ広島監督時代、5バックになりやすい3バックで成功を収めてきた監督の本質が垣間見える。

 なぜこの手のサッカーが世界的に見て少数派なのか。これまで欧州の評論家、解説者、監督は、口々にこう説明したものだ。

「失敗したときのリスクが大きすぎる」「選手の信頼を一気に失う」「同じ1敗でも3、4敗分に相当する」「プレッシングを貫いて敗れたほうが次につながる」「選手のモチベーションが違う」「そもそも面白くない」「観客が喜ばない」......。

 サッカー競技の進歩、発展の歴史を見れば、ハッキリとしている。トータルフットボール、プレッシングサッカーというサッカーの概念を変える2大発明なしに、それを語ることができない。後ろで守る古い概念に基づくサッカーに手を染めることは、歴史的に見た時、格好いい姿には見えない。時代をリードしているのはどちらのサッカーか。ジョゼップ・グアルディオラなのかジョゼ・モウリーニョなのか。少し長い目で見れば一目瞭然となる。

 そして繰り返しになるが、面白くない。欧州でチャンピオンズリーグが発展した理由は、攻撃的サッカー陣営の興隆と密接な関係にある。

 同じ3バックでも、5バックになりにくい攻撃的な布陣もある。だが、その領域には踏み込もうとしない。踏み込む術を知らないという印象もある。使い分けているのではなく、単に守備的サッカー好きと考えるのが自然である。4-2-3-1や4-3-3で戦うことは、森保監督にとって仮の姿なのだろう。攻撃的サッカーがまるで機能しない理由である。

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