サッカー日本代表・森保ジャパンの慢性的な病「攻撃力不足」の解消に求めたいこと (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【満員ではなかった客席】

 春と呼ぶにはほど遠い極寒のスタンドで試合を観戦していると、時計は遅々として進まなかった。時間がアッという間に経過するハイレベルな好試合とはまさしく対極の関係にある試合だった。

 試合内容が悪すぎる。サッカーが面白くないのだ。森保監督は、試合に勝てば「勝利を届けることができてうれしい」と言う。この試合も例外ではなかった。「多くの観客が集まった国立競技場で勝つことができて......」と、開口一番述べている。だが、多くのファンはJ2レベルのチームに1-0で勝利しても喜ばない。高いチケット代に見合うエンターテインメントであったか、無意識のうちに内容を吟味しているだろう。

 サッカー協会は、試合開始の数時間前に観戦チケットが売り切れたと伝えた。完売まで時間を要したことになる。ゴール裏に陣取るサポーターも減少した。森保ジャパンへの期待値が低下していることは認めざるを得ない確かな事実なのだ。この時代、テレビの視聴率より信用すべきはスタンドの満杯率。欧州組を大量に帰国させ、メンバーを編成しても超満員にはならなかった。

 終盤、日本が5バックに転じ、前田大然、浅野拓磨らの俊足に頼るアバウトなカウンターサッカーに転じると、タイムアップの笛を待つことなく帰路を急ぐ観客が目についた。

 森保監督は前日会見でこう述べていた。

「状況に応じて、いろんな戦い方ができるチームは強いと思っています。ひとつのことをやり抜く。これも大切ですが、我々は現実的に起きるいろんな状況に対応できるチームとしてこれまでも経験を積んできていますし、また明日の試合でも、状況によって戦い方をしっかりと選択できればなと思っています」

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