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三笘薫、鎌田大地の不在で多くの収穫があったカナダ戦 日本代表の今後のあり方が明確に (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【誰が出場しても戦力が落ちない】

 カタールW杯後、初めて代表でプレーした南野は、いまひとつという印象だった。4-3-3ではインサイドハーフとして、4-2-3-1では1トップ下でプレーしたが、鎌田大地を圧して出場するにはピリッとしない、どこか弱々しい印象を与えた。

 鎌田が今回、参加していれば、南野は選ばれていたかどうか、わからない選手だ。鎌田が欠席したことで、南野の現在地を確認することができたわけである。有意義な時間と捉えたい。一方で、毎度、脇役に回っていた旗手が十分戦力になりそうなことを確認することもできた。こちらも鎌田の不参加がもたらした副産物と位置づけることができる。

 三笘、さらに鎌田は4-2-3-1で言えば2列目で柱となる選手だ。伊東しかり。久保が現状でははみ出ている状態だが、このカナダ戦では伊東を除く花形の3選手がピッチに立たなかった。珍しい光景だったが、こうした設定で試合をしなければ、畑を耕すことはできない。新たな可能性を追求することはできない。ジーコジャパン、第2期岡田ジャパン、ザックジャパン、ハリルジャパンがそうだったように、第3コーナーを回った辺りで失速状態に陥る。

 当時は層が薄かったと言えばそれまでだが、欧州で活躍する選手が飛躍的に増え、層が厚くなったにもかかわらず、畑を耕すことを怠れば、5試合以上の戦いに必要とされる総合力は高まっていかない。

 欧州のカップ戦に出場する選手は、それに伴う過密日程との戦いを強いられている。ホームで行なわれる代表戦に毎度招集することは、現実的に難しくなっている。だが、それは必ずしもデメリットではない。新たな選手が登場する絶好の機会になる。より多くの選手に出場機会を与えることこそが、真の代表強化なのである。場合によっては勝つこと以上の産物になる。

 誰が出場しても戦力が落ちないチーム。その概念が顕著となった試合。代表チームの今後のあり方が明確に示された試合。カナダ戦を筆者はそう位置づけたくなる。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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