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三笘薫、鎌田大地の不在で多くの収穫があったカナダ戦 日本代表の今後のあり方が明確に (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【代表選手として格を上げた中村敬斗】

 日本のストロングポイントを語ろうとしたとき、真っ先にくるのは三笘薫だろう。その三笘が今回は体調不良を理由に、招集を事実上、辞退した。このことをテレビの視聴率に影響が出るなどとネガティブに捉える声を見聞きした。しかし、それがマイナス面ばかりではないのがサッカーだ。

 三笘が左ウイングとして出場時間を延ばせば、2番手以降の選手の出場機会は減る。層は厚くならない。次回W杯本大会で5試合以上戦おうとしているチームにとって不可欠な、総合的な体力は育まれないことになる。前田大然の不参加も手伝い、このカナダ戦は、左ウイングとして先発を飾ることになった中村敬斗をじっくり観察するにはまたとない機会になった。

 代表キャップはこれが4試合目。過去3試合の出場時間は1分(ウルグアイ戦)、45分(エクアドル戦)、45分(トルコ戦)で、ハーフタイムをまたいで出場するのはこのカナダ戦が初めてである。採点するならば7となる。3点目のゴールをマークしただけではない。左ウイングとして、雰囲気のあるプレーを見せることができていたのだ。

 いつ外されてもおかしくない選手だったこれまでから、ワンランク、代表選手としての格を上げた恰好だ。これぞまさに三笘の「欠席」が生んだ副産物に他ならないのである。

 好事魔多しで、中村は後半16分、相手のラフプレーを受けて、負傷退場の憂き目に遭った。代わって入った旗手怜央は、川崎フロンターレ時代は左SBとして鳴らした日本代表きっての多機能型選手だ。しかし、左ウイングとしてプレーするのは久しぶりだった。

 大丈夫かと思いきや、それが予想以上に堂々と、余裕のあるプレーを見せたのだ。後半38分には南野拓実がベンチに下がったのを機に1トップ下に移行。ここでも旗手は自慢のパスワークで存在感を発揮した。

 旗手の移行に伴い、左ウイングには右ウイングから回ってきた伊東が入った。三笘がいないと、ふだんしにくいさまざまなテストを敢行することができる。これこそが代表強化のあるべき姿なのである。

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