大迫勇也を不要とした森保一監督の判断に最大限の疑問。削るべき選手はほかにいる (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

この26人なら1トップに鎌田大地を

 特別な才能を持つ大迫というベテラン選手をどう活かすか。筆者はこれこそがベスト8入りのカギだと睨んでいた。

 スタメンを外すならわかる。だが、26人から外すという選択には唖然とする。会見場で、大迫の名前がないことを確認した瞬間、筆者は開いた口が塞がらなくなった。森保監督のサッカーの解釈が、こちらと根本的に違うことに、あらためて驚かされた。

 26人の名前を眺めると、CFの先発は上田綺世で、交代がスピード系の浅野拓磨というパターンが予想できる。浅野ではなく同じくスピード系の前田大然という手もあるが、ここになぜ、他の選手にはない才能を持つ大迫を選択肢として加えることはできないのか。何といっても勝負のカギを握るポジションだ。大迫の前に、他のフィールドプレーヤーのなかに削るべき選手はいる。

 上田も例外ではない。これまで彼に、代表の1トップを張るに相応しい器の持ち主だと確信を抱いたことはない。滞空時間の長いヘディング。ツボにハマった時のシュート力は確かに魅力だが、総合力はけっして高くない。パスワークに絡む機会が何より少ない。周囲とのコミュニケーション能力に欠けるプレーと言うべきか。前線で孤立することを辞さない「待ちのストライカー」。よく言えばそうなる。

 スピード系のCFを先発させる手もあるが、これまでの試合で成功した試しはない。そのスピードが調子外れに見えてしまうのだ。

 こう言ってはなんだが、この26人のメンバーで戦おうとした時、筆者が監督なら、1トップには鎌田大地を据える。2010年大会で0トップを務めた本田のような役回りで鎌田を使おうと考える。率直に言って、大迫の次に優れている選手だからだ。ポストプレーを得意とするプレーのタイプも似ている。高い位置でボールが収まるサッカーが可能になる。

 ついでに言うならば、鎌田は守備的MFでも行ける。となると、冒頭で述べた「守備的MFの層の薄さ」は解決できる。

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