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元日本代表監督ファルカン独占インタビュー。在任時「一番の決断は前園真聖の起用だった」 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

ジーコから聞いた日本サッカーの姿

 こんなとんでもないことをする人を私は初めて見た。過酷な旅をしてきたにもかかわらず、疲れも見せず、時差ボケも感じさせず、頭はクリア、出された昼食ももりもりと食べた。少なくとも3時間は話をし、その間にさまざまな条件について話し合い、多くの書類にサインをした。私は彼の疲れを知らないスタミナに驚き、もし日本人が皆これほどの強靭さを持っているのなら、すぐにW杯で優勝できるだろうと思ったものだ。

 ここまでして私に会いに来てくれたのは、私を評価してくれている証拠だろうとも感じ、オファーを受け入れた。こんな熱い人がいるのなら日本での仕事もやりやすいに違いない。帯同を希望した4人のブラジル人スタッフをJFAが受け入れてくれたことにも、プロ意識を感じた。

 特に私の右腕となったフィジカルトレーナーのジウベルト・ティムの存在は大きかった。ティムは我々のなかでも最も高い報酬をもらうべき人物だった。彼はコリンチャンスなどでプレーした優秀な選手であり、当代一のフィジカルトレーナーであった。私はインテルナシオナルとメキシコのクラブ・アメリカですでに彼と一緒に仕事をしていたので、彼の価値をいやというほど知っていた。日本に行くならばティムと一緒でなければだめだと考えた。

 JFAが彼にふさわしい報酬を支払うことに渋い顔をするのではないかと心配したが、それは杞憂にすぎなかった。彼らは問題なく要求を受け入れ、私は彼をスタッフに加えることができた。日本代表はティムの教えを受ける価値のあるチームだったし、その結果は目に見えて出たと確信している。

 私にとって日本行きは大きな挑戦だった。

 率直に言って、日本についての知識はあまりなかった。当時は今のようにインターネットもない。ブラジルの新聞やテレビで報道される日本のニュースも少なかった。我々ブラジル人が知る日本は、日本にいるブラジル人からもたらされるものがすべてだった。

 特にガリーニョ(ジーコ)が語る日本サッカーの姿は魅力的だった。日本はすばらしい。なにより「もっと強くなりたい」という気持ちに溢れている。我々ブラジル人の力を借りて本物のプロにしたいと思っている??―。

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