菅原由勢は酒井宏樹のポジションを奪えるか。森保Jの右サイドバック一番手になるため「自分の色を出す」

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 チャンピオンズリーグ決勝の翌日、オランダAZの菅原由勢の長いシーズンはようやく終わった。

 AZはレギュラーシーズンで5位となり、来季のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)出場権を4位から8位の5チームで争うプレーオフに回った。合計4試合戦ったプレーオフの最終戦が5月29日に行なわれ、AZは来季のECL出場権を獲得。ようやく1年間の戦いを終えたというわけだ。

「これだけ最後にいいサッカーをするなら、最初からやっておけという話ですよね」

 最終戦でフィテッセに6−1で勝利した菅原は、自分たちの快勝をなかばあきれながら振り返った。

シーズン最終戦で大勝して喜ぶ菅原由勢シーズン最終戦で大勝して喜ぶ菅原由勢この記事に関連する写真を見る 菅原にとって、2021−22シーズンは躍進の一年だった。昨年夏の東京五輪メンバーからは落選、だが所属のAZでは前シーズンまでの背番号26から出世し「2」をつけることとなった。

 右サイドバックから、右ウイング、時には中盤もこなし、第33節までのすべての試合に出場。リーグ戦終盤にきて、左ひざに「痛みというか、違和感というか」を抱え、第34節には出場せず。プレーオフもこの日を含めて3試合途中出場と、1試合出場なし。

 しかし、「監督が(出場時間を)うまくコントロールしてくれて、もうよくなっている」という状態だそうだ。29日のフィテッセ戦でも81分からの出場にとどまっている。

AZでのシーズンは終わったが、菅原は休む間もなく日本代表に合流する。今回は久々の招集だ。

 過去には、2020年10月、11月の欧州遠征に呼ばれ、計4試合でわずか4分の出場にとどまった。2021年6月にもA代表、U−24代表と計3試合に呼ばれたが出場はなかった。

 今回はカタールW杯に向けたメンバー争いに割って入る、ほぼラストチャンスとなる。

 代表ではここまで結果を残せずにきた。だが、AZというオランダの強豪チームでレギュラーを張って来た菅原には、クラブや仲間たちからの期待があったという。

「インターナショナルウイークに入るたびに、チームメイトから『今回は代表に行くのか?』って聞かれていました。行かないよって答えると、『大丈夫だよ。ここでのパフォーマンスをそのままよくしていけば、お前なんてすぐ呼ばれる』ってみんな言ってくれていて......。

 すごい頑張ろうって思いましたし、いいチームだなと思いました。選手同士のサポートじゃないですけど、居心地がいいというか」

 仲間からの温かい励ましは、日本代表への想いをより強いものにした。

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