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歴代日本人の「スピードスター」トップ10。野人・岡野雅行が選出、その定義とは? (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

3位 山田暢久(元浦和レッズ)

 彼はやる気がない時が多い。でもたとえばパトリック・エムボマだったり、日本代表選手だったり、そういう選手を相手にした時の速さは世界に通用したと思います。でもやる気を入れさせるのが一番大変なんですけどね(笑)。

 エムボマが一番すごい頃に、ある試合で浦和は彼を止められなかったんです。それで交代で入った山ちゃんがマンマークについたらスイッチが入って、一度も抜かせませんでした。それでエムボマがイライラしてファールで退場になったくらいです。

 それくらい山ちゃんはすごいんですけど、シーズンのなかで言ったら10試合くらいしか速くない。それ以外は相手を舐めて「これくらいでいいでしょ」って流して走るんですよね。あれで毎試合スイッチが入ったらワールドクラスでした。

 練習で僕と1対1になった時も、絶対に彼は抜かせてくれませんでしたよ。「それくらいいつもやれよ」ってよく怒っていましたね。

2位 大柴健二(元浦和レッズほか)

 やんちゃ野郎ですよ。"野人2トップ"なんて言われて僕と一緒にコンビを組んでいました。相手にしてみれば速かったし、強かったし、面倒くさかったでしょう。

 彼のイメージは、かつてアルゼンチン代表で活躍したガブリエル・バティストゥータですね。裏に抜けたボールは、スピードを生かしたり、相手の前に体をうまく入れたりして、全部勝っていたと思います。

 僕と2トップを組んだ時は「とにかくボールを追いかけ回そうぜ」って、それで何度も相手のミスを誘って、ゴールにつなげましたよ。それからよくやっていたのが、お互いがクロスする動き。

 相手はそれぞれマークにつくんですけど、僕らはそのマークを引き連れてクロスして入れ替わるんです。相手はその瞬間にマークを受け渡さなければいけないんだけど、その間に僕らは置き去りにしていました。

 スピード感から言ってもすごくやりやすくて、スピードがある者同士わかり合えることが多かったです。僕がよく味方の中盤選手に言っていたのが「ボールがずれてもいいから、とにかく相手に当てないでボールを裏に出してくれ。そうすればなんとかするから」って(笑)。その感覚を大柴とはわかり合っていましたね。

 名波浩(当時ジュビロ磐田)が試合中に「お前らずるいな」と言ってきたのを覚えています。ジュビロとやるとずっとボールを回されちゃってすごく押し込まれるんだけど、僕らはボールを奪ったら手数をかけずにあっという間にシュートまで持っていけたんです。ギド(・ブッフバルト)が奪って、(ウーベ・)バインに渡ってそこから裏へボールが出てくる。そうしたら僕らが走って、もうシュート。

 ちなみに日本代表でプレーした時は、ヒデ(中田英寿)はよくわかってくれましたね。彼は敵を引きつけて相手守備陣にギャップを作ってくれる選手だったので、そこに僕が走り込んだらキラーパスが飛んでくる。そのパスがまたちょうどよかった。ボールが遅ければスピードを緩めなきゃいけないけど、ヒデは僕が気持ちいいパスを本当によくわかってくれていました。

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