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歴代日本人の「スピードスター」トップ10。野人・岡野雅行が選出、その定義とは? (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Matsuoka Kenzaburo

9位 三都主アレサンドロ(元浦和レッズほか)

 アレックスが清水エスパルスで、まだドレッドヘアーだった時代です。

 僕が日本代表の時に清水と練習試合をしたんですが、そこでアレがマンツーマンで僕のマークについて来ました。その頃はアレもまだデビューして間もなくて、僕はよく知らなかったんです。

 その試合で味方が裏にロングボールを蹴って、その頃の僕はスピードで負ける気がしなかったですが、アレについて来られたんです。アレはこっちを意識していたのか「絶対負けねぇ!」という気迫でダッシュしてくるんですよ。正直、めちゃくちゃ面倒くさかったですね。

「なんだ、こいつ!?」と思っていたら、すぐにアレの名前が日本中で知られるようになりました。やっぱりちょっと特別なスピードを持っていました。

 速さのタイプとしては、清水にいた当時は僕と似たタイプだなと思いました。ただ、そこから単純なスピードだけでは通用しないと考えたのか、"裏街道"とかスピードを生かしたドリブルテクニックだったり、プレーに緩急をつけたりするようになりましたね。

8位 坪井慶介(元浦和レッズほか)

 浦和では400mや200mを5本、10本を走るトレーニングがあったんですけど、その時のツボは速かったですねぇ。僕はそういう時に、どれだけ二日酔いでも独走だったんですよ。でもツボと一緒に走って、初めて負けるんじゃないかと思いました。DFであれだけ速い選手は久々でした。

 速さとしては、初速から継続してずっと速いタイプです。

 サッカーでDFの裏を取るのは一番の魅力だし、スタジアムが興奮するシーンだと思うんです。でも完全に裏を取ったはずなのにDFについて来られる。これはスピードで勝負するタイプの選手にとっては、本当に嫌で、しかも疲れるんです。

 僕が浦和に帰ってきてツボと会った頃はもう31歳でした。まだ20代半ばくらいのバリバリの頃にツボと対戦してみたかったですね。

7位 平川忠亮(元浦和レッズ)

 僕が久々に「こいつには勝てねえな」と思った選手です。

 僕が浦和に帰ってきた時に平川はもう入団していたんですけど、正直知らなかったんですよ。初めてトレーニングで一緒に走って「お前、速くね?」って、思わず言っちゃいました。

 平川は献身的で、チームのために泥臭く尽くせる選手なので、あまりスピードが目立つタイプではないんですけど、走らせたら彼に勝てる選手はほとんどいないでしょう。Jリーガー運動会があったら、メダルを獲れますね。

 ただ、クラブワールドカップでマンチェスター・ユナイテッドと対戦した時に、クリスティアーノ・ロナウドだけにはぶち抜かれていました。あれはやっぱりわかっていても止められないんだなと思いました。

 平川もスピード自体はついて行けてたんですよ。ただ、縦への意識が強すぎたのか中へ行かれてしまった。それでも並の選手相手であれば、平川もついて行けるんですが、ロナウドだけにはぶち抜かれてしまった。衝撃でしたね。ロナウドの腕の使い方とか、パワーとかが、Jの選手と比べたら桁違いだったんでしょうね。

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