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岡田武史が森保一監督は「いいリーダーになる」と期待。その理由とは (4ページ目)

  • 村上佳代●取材・文 text by Kayo Murakami
  • photo by AFLO

強いチームに共通する"モラル"

遠藤 サッカーの世界でケイパビリティが高いと感じるチームの特徴はありますか?

岡田 Jリーグの各チームの練習を30分ぐらい見れば、勝つ確率が高いチームかどうかがわかります。それは、モラルがあるかどうか。ルールでもない、モラルなんです。

遠藤 モラルがあるチームとは?

岡田 たとえば、グラウンドの四隅にコーンを置いて、コーンの外側を1周何秒以内で走れと伝える。すると、コーンの内側を周る選手が出てくることがあるんですね。特にチームの中心選手が内側を周って、外側をちゃんと周っている選手を小馬鹿にする。こういうチームは、まず勝てません。

 ただ、コーンの外側を周れと言うだけではダメで、みんなが当たり前のようにコーンの外側を周る空気、つまり文化を作らないといけないんです。僕が率いたマリノスもそうでしたが、強いチームはこれができています。

遠藤 規律とも違いますか?

岡田 規律だと、監督やコーチが決めている感じですよね。そうではなく、自然と何をすべきかを理解して、内発的に行動が生まれることが重要だと思います。

遠藤 私が仲良くさせてもらっているデンソーの社長の有馬(浩二)さんは、「いい工場に行くと、いい"気"が流れているのがわかる」と言っていました。ピンと張り詰めた緊張感があり、そういう工場はトラブルを起こさないし、生産性も高いそうです。逆に、トラブルを起こす工場に行くと、空気が緩んでいると。「モラルがあるかどうか」というのは、組織やチームにとってすごく大事なんでしょうね。

岡田 そうですね。チームにいいモラルを与えられるかというのも、リーダーに必要な要素の1つでしょうね。そういう意味では、現日本代表・森保監督はすごくいいリーダーになるんじゃないかと期待しています。彼とはよく話しますが、モラルを大事にする感覚を持ち合わせている。彼が今後、真価を発揮していくことを楽しみにしています。

Profile
岡田武史(おかだ・たけし)
株式会社今治.夢スポーツ代表取締役会長。1956年大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1980年、古河電気工業サッカー部に入団。1990年に現役引退後、日本代表のコーチを経て、監督に就任。1998年、W杯フランス大会に出場する。その後、コンサドーレ札幌、横浜F・マリノスの監督を務め、2007年に2度目の日本代表監督に就任。2010年、W杯南アフリカ大会ではベスト16入りを果たした。代表監督退任後、中国スーパーリーグの杭州緑城監督を経て、2014年、FC今治のオーナーに就任。

遠藤功(えんどう・いさお)
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役。1956年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)取得後、三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を歴任。現在は、独立系コンサルタントとして、株式会社良品計画、SOMPOホールディングス株式会社、株式会社ネクステージ、株式会社ドリーム・アーツ、株式会社マザーハウスで社外取締役を務める。著書に『生きている会社、死んでいる会社』『新幹線お掃除の天使たち』『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』など。

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