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広島から五輪代表の「切り札」へ。最終予選のカギ握る、浅野拓磨 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「世界と戦える機会は滅多にありませんし、こんな大きな舞台を経験できるのは、すごく幸せなことだと思います。少しでも長く試合に出て、ひとつでも多くのゴールを奪いたいですね。そういう経験が、五輪の最終予選でも生きてくると思いますから、それを全部最終予選にぶつけたい」

 ただ、気になるのは、これらチャンピオンシップや、クラブW杯出場のために、五輪代表の合宿や海外遠征に参加できていないことだ。そのうえ、天皇杯があるため、12月22日から沖縄で行なわれている最終合宿にも参加できそうもない。チーム結成当初から長い間代表チームに入っていたとはいえ、戦術的にも詰めの部分に入ってきた練習に参加できないのは、本人的にも不安を感じているのではないだろうか。

「いえ、五輪代表チームのことは気になりますが、今は自分が与えられた場所で精一杯やるだけです。チームでの成長と経験が、必ず最終予選でも役立つと思っています。だから、遠征や合宿をこなしている選手たちに負けないよう、自分もチームで結果を出して、いいイメージを持って最終予選に臨みたい。とにかく、自分が試合に出て、ゴールを決めて、必ず予選を突破します」

 これまで「ふたりでリオ五輪を目指そう!」と、切磋琢磨してきた同僚の野津田岳人が、クラブW杯で負傷し、最終予選に出場できなくなった。浅野には「岳人の分まで……」という強い思いもある。

 Jリーグの頂上決戦で、そして世界の舞台で結果を出した“スピードスター”が、アジアの難敵をも蹴散らせるのか。自らの経験を最大限に生かすときがやってくる。

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