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広島から五輪代表の「切り札」へ。最終予選のカギ握る、浅野拓磨 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 浅野にとって、チャンピオンシップという舞台を踏めたことも大きな刺激となった。満員の観衆が見つめる中、「負けられない」というプレッシャーや緊張を抱えてのプレーには、経験したことのない気持ちの昂(たかぶ)りを感じたという。

「(チャンピオンシップの)試合はきつかったですね。年間1位の自分たちは、勝たなければいけない、というプレッシャーがものすごくあった。それでも、初戦は劇的な勝ち方をして、2戦目は引き分けに持ち込んで、なんとか優勝することができた。あの経験は本当に大きかった。

 特に2戦目。(1点ビハインドの状況で)あのときは『絶対に(点を)決めてやろう』と思って、ピッチに入ったんです。こういう緊迫した試合の中で、重要なゴールを決められるかどうかは、自分にとってすごく大きなテーマだったので、そこでゴールを決めることができたのは、よかった。自分自身、成長できたと思いますし、自信にもなりました」

 自らに課した「(Jリーグで)試合に出る」という目標は、途中出場ながらも達成し、シーズン8ゴールという結果も残した。プロのプレーヤーとして、いろいろな経験値が足りない五輪世代にあって、浅野は十分な経験を積んで、精神的なタフさも身につけた。

 その後、FIFAクラブワールドカップにも出場し、さらに経験値を高めた。初戦のオークランドシティ(ニュージーランド)戦では先発フル出場を果たし、2戦目のマゼンベ(コンゴ民主共和国)戦では途中出場でダメ押しゴールを決めた。浅野は、選手として確実にワンランクアップした。

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