広島から五輪代表の「切り札」へ。最終予選のカギ握る、浅野拓磨 (2ページ目)
きっかけとなったのは、Jリーグファーストステージ第6節(4月18日)のFC東京戦。浅野は、佐藤に代わって途中出場を果たすと、18分という短い出場時間の中で結果を出した。リーグ戦初ゴールとなる記念の一発で、チームを勝利に導いたのだ。以来、先発の佐藤のあとを受けて、ゴールを奪い、試合を終わらせる"クローザー"としての役割を託されることとなった。
そんな浅野の存在は、他チームには大きな脅威となった。スタンドに詰め掛けたファンの度肝を抜くスピードで、ピッチ内を縦横無尽に駆け抜けるのだ。それも後半、疲れが出始める時間帯に出てくるので、相手にとっては非常にやっかいだった。
運動量が落ちてきた敵DF陣を翻弄し、空いたスペースを容赦なく突いてチャンスを演出した浅野。最終的にゴールを決めることがなくても、前線で動き回る彼の存在がチームを勇気づけ、相手の反撃を封じ込めた。
浅野は、「もちろん、最初から(試合に)出たい気持ちはある。後半から出るのが、ベストなわけじゃない」と言いつつも、「今はチームとして(自分が後半から出る)この形が機能している。それに、五輪の最終予選でも、途中から出ることもあると思うで、今はいい経験だと思って、チームのために、自分のできることをしっかりやりたいと思っています」と語って、与えられた役割を全力でこなしていった。
そしていつしか、佐藤から浅野へのスイッチは、サンフレッチェの"勝利の方程式"となって、チームは勝ち星を重ねていった。
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