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【プロ野球】「今の阪神なら一気にいける」原口文仁が語る佐藤輝明、森下翔太、大山悠輔の進化と優勝への最後のピース (4ページ目)

  • 長谷川晶一●文 text by Shoichi Hasegawa

【猛暑の夏戦線を勝ち抜く秘策】

── これからいよいよ勝負の夏場を迎えます。タイガースがこの三つ巴の戦いを一歩抜け出すための秘策はどこにあると考えていますか。

原口 キーになるポイントだと感じるのは「下位打線の機能」です。もちろん1番、2番の出塁率が上がれば、翔太、テル、悠輔のクリーンナップは間違いなく生きます。ただ、チームが本当に強い時というのは、例外なく下位打線が活発に機能してチャンスを上位へつないでいるんです。(前川)右京や(熊谷)敬宥、(髙寺)望夢、(福島)圭音、あるいは立石(正広)など、若手やバイプレーヤーが下位打線にハマって、そこをどう活性化できるか。これが後半戦の大きなカギになります。

── 投手陣に関しては、いかがでしょうか。

原口 ピッチャー陣に関しては、リハビリを乗り越えた(髙橋)遥人が一軍のマウンドで頑張ってくれていることが、現時点でチームにとって計り知れないプラス要素になっています。ここからは、長年ローテーションの軸としてしっかり成績を残してきた(才木)浩人と(村上)頌樹のふたりの「もうひと踏ん張り」に期待したいです。

 現在はなかなかふたりに勝ち星がついていない状況なので、そこをいかに打線がカバーして彼らに白星をつけられるか。浩人と頌樹に勝ち運が乗ってくると、チームとしてはめちゃくちゃ大きいです。

 あとは中継ぎ陣ですね。勝ちパターンの型に、もう一枚新しい名前がガチッとはまって出てきてくれると、後半戦に向けて首脳陣もかなり戦いやすくなるはずです。藤川監督も、起用方法を見ていると必死にそこをつくり、探そうとしている意図が伝わってきます。

── 雨天中止分の振り替えなどもあり、9月にはさらなる過酷な戦いが予想されています。最後の最後までもつれる予感もありますね。

原口 そうですね。このチーム状況で今の位置に踏みとどまれているわけですから、チームの底力は本物です。(近本)光司の復帰は、打って、守って、走れるリード・オフ・マンが帰ってくるということなので、他球団に比べてもアドバンテージは非常に大きいです。

 このまま秋口までかなり競り合うスリリングな予感はしますが、今はとにかく投手陣の再整備と、下位打線の活性化。後輩たちがプレッシャーを跳ね除けて、最高の歓喜をファンの皆さんに届けてくれることを、ひとりのOBとして信じて応援しています。


原口文仁 (はらぐち・ふみひと)/1992年3月3日生まれ。埼玉県出身。帝京高校3年の2009年、夏の甲子園大会出場。同年ドラフト6位で阪神タイガースに入団。ケガの影響で13年から育成契約となったが、16年4月に支配下登録に復帰すると、強打の捕手として活躍。5月には、育成契約を経験した野手では初の月間MVPを受賞。19年1月、大腸がんを公表。同年6月に一軍復帰し、代打サヨナラ安打を放つなど奇跡の復活を遂げると、7月のオールスターゲームでも2試合連続の本塁打を記録。不屈の精神で病を乗り越えた姿は、多くのファンに勇気を与えた。20年からは代打の切り札として勝負強さを発揮し、23年には38年ぶりのチーム日本一に貢献。25年シーズンをもって、16年間の現役生活に幕を下ろした。引退後は、野球界と社会への貢献を軸に、講演活動やメディア出演を行なっている

  『道なき道を 大腸がんという宿命を使命に変えて』(集英社)

阪神タイガースひと筋16年。

2025年に現役を引退した原口文仁による、引退後初の著書。


「これはがんです」
プロ野球人生半ばの26歳で告げられた現実。


2019年、大腸がん(ステージ3b)を患い、大腸を13センチ切除した。


手術は成功。再発の不安を抱えながらもプレーを続け、2024年に完治。


そして2025年、16年をともにしたタテジマのユニフォームを脱いだ。



病と向き合った日々、再びグラウンドへ戻るまでの舞台裏、支えとなった家族や仲間への思い──。


ユニフォームを脱いだ今だからこそ明かせる本音を、自身の言葉で綴った一冊。


妻、母、"師匠"と慕う城島健司氏、チームメイト・梅野隆太郎選手からの「特別寄稿」も収録。

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著者プロフィール

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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