【プロ野球】"異様な全力疾走"がスカウトを震わせた男 無名から這い上がる「ギータ2世」寺本聖一の現在地
キャンプで見つけた金の卵④〜オリックス・寺本聖一
2月の南九州。梅、桃、早咲きの桜......。多くの種類の花がいっせいに開花する季節だ。 なかでも、沿道のそこここに輝く菜の花の「黄」の美しさに思わず息を飲む。あの透き通った黄の鮮やかさは、いったい誰がつくり出すものなのか。普段はあまり意識しない「神」という存在を、すぐそこに感じてしまう瞬間でもある。
支配下登録を目指して練習に励むオリックス2年目の寺本聖一 photo by Nikkan sportsこの記事に関連する写真を見る
【プロ志望高校生合同練習会での衝撃】
オリックスの育成2年目外野手・寺本聖一については、彼の広島商業高当時から何度かコラムやメディアで推しているので、ご存じの方も多いかもしれない。
新型コロナウイルスの影響で、選抜も夏の甲子園もなくなってしまった2020年。その夏、プロへのアピールの場を失った球児たちのために、スカウトの前で技量を披露する「プロ志望高校生合同練習会」が開催された。
寺本との最初の出会いは、その時だった。
フリーバッティングで左打席から甲子園のライトスタンドに何本か放り込んだパンチ力がメディアの話題にはなったが、私が目を奪われたのは、まずライトで受けたシートノックだった。
矢のような軌道と勢いのあるバックホームを見せてくれたあと、三塁ベンチへと戻る際に見せた猛烈ダッシュのスピード。何か怖いものと出会って、ビックリして必死に逃げて帰ってくるような......。そんな異様な全力疾走が、「このオレを見てくれ!」と絶叫しているようで、こちらの胸にグサリと刺さったものだ。
【ベテラン指揮官も驚く練習の虫】
高卒でのプロ入りは叶わなかったが、広島経済大に進学。ケガや壁にブチ当たった時期も挟みながら、4年間でリーグ戦通算12本塁打、4年春秋はいずれも3割台をマークするなど、ベストナインを3度獲得する好選手へと成長した。
粗けずりで力まかせだったバッティングも、大学3、4年でだいぶ安定した滑らかなスイング軌道を描けるようになっていた。
4年秋。取材で訪れた広島経済大のグラウンドで、全方向に同じような飛距離と打球スピードで快音を響かせていた。
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著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。





























































