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「もうええわ」宮西尚生は絶体絶命のピンチでこそ開き直れる 「リリーフのセンス」の正体

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

プロ野球ブルペン史
ブルペン一筋18年、宮西尚生が語る「リリーフのセンス」(後編)

 自分で納得いく球を投げても痛打され、すべてを台無しにするような失敗をしても、次の登板に向かえる精神力──。日本ハムの宮西尚生は、それを「リリーフのセンス」と称する。プロ入り以来、試合中はずっとブルペンで待機してきた男ならではの表現──。その「センス」について宮西に聞く。

ここまで歴代最多の424ホールドを記録している日本ハム・宮西尚生 photo by Sankei Visualここまで歴代最多の424ホールドを記録している日本ハム・宮西尚生 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【絶体絶命のピンチで開き直り】

「今までずっとピッチャーを見てきて、リリーフでも『こいつは先発向きの性格やな』っていう子が何人もいて。プロ野球選手なんで、能力はみんな高いんですよ。一級品の球を持ってるピッチャーばっかりで。でも、その子の性格っていうのは、リリーフのセンスがあるかないか、その要素のひとつなのかなって思いますね。ピンチになって開き直れる性格なのか、とか」

 宮西自身、開き直れる性格なのだろうと、マウンド上の一挙一動を見てよく感じる。ハッタリではないけれど、顔で抑えてしまうような貫禄も、特にベテランのリリーフには見受けられる。今の宮西はそんな一面もある。それもセンスに関わるのか。

「そうです、『打てるもんなら打ってみい、これで打たれたらしゃあないやんけ』って言って投げられるかどうか。極端に言えば、ど真ん中に投げられる根性があるかないか。そりゃ、なんでもかんでも『ど真ん中、打ってみい』ではセンスはないし、その切り替えのタイミングもありますけどね。

 ランナー溜めてでも抑えながら、アウトカウントを取りながら、最後にどう開き直れるか、っていうところがセンスだと思う。で、やられたあとに次の登板に向かっていくにしても、1球目に何を投げるか、そこでどう戦えるかっていうセンスもある。リリーフはそれがすべてと言ってもいいかもしれない」

 宮西の開き直りといえば、「もうええわ」である。2016年、広島を4勝2敗で下した日本シリーズの第4戦。チーム事情で抑えとなっていた宮西は、2点リードの9回に登板し、二死満塁のピンチで3番・丸佳浩(現・巨人)を迎えた。結果、カウント3−2から三振に仕留めたのだが、2−2にしたところで開き直ったことを、試合後のコメントでこう明かしていた。

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著者プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

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