WBCまであと1年 侍ジャパンのメジャーリーガーでは賄えないポジションと候補者を考えてみた! (4ページ目)
中日の橋本は昨季47試合で防御率1.73を記録し、今回初めて日本代表に選出。5日のオランダ戦では5回に三番手として登板すると、先頭打者に速球を狙われてレフト線に二塁打を許したが、決め球のスライダーをうまく使って無失点で凌いだ。この球種をどこまで磨けるかが、今後の自身を左右すると橋本自身も考えている。
「スライダーの被打率が低くなるようにというのはあります。本当にスライダーを自信持って投げていていくことも必要です。そのなかで真っすぐも大事だと思うので、コンビネーションや組み立てのレパートリーを増やしていければと思います」
片や、塹江はサイドスローに転向した昨季、53試合で防御率1.58とブレイク。5日のオランダ戦では3回パーフェクトの先発・宮城のあとを受けて4回に登板すると、最速153キロのストレートで押し込んだ。
「真っすぐで押せている感覚はありました。(4回の)最後のバッターはもう一段力を入れて空振りも取れたので良かったです。フォークでも相手のスイングを崩せていました。スライダーは2球投げて、どっちもボール。自分のメインとなる球種のひとつなので、もうちょっと精度が必要かなと思います」
塹江は強い速球とウイニングショットになる変化球を持ち、変則という武器もある。昨季と同じような活躍を2025年シーズンも見せればWBCに向けて面白い存在になりそうだが、本人はどう考えているのだろうか。
「単純に今の実績や実力で、そういうところに入っていけるかとあまり想像していません。今回こういうユニフォームを着てプレーできる貴重な機会をいただき、成長のひとつのきっかけにできたらいいなと思って来ました。ここからがすごく大事だと思います」
わずか2試合の強化試合だったが、WBCに向けた候補として招集された選手たちは、その意識を持ってシーズンに臨むはずだ。ここから誰がより成長し、日本代表入りを果たすのか。選考という意味でも大事な2025年シーズンは、まもなく始まる。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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