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元プロもポテンシャルに太鼓判! 高校野球未経験、支援学校出身の18歳が独立リーガーに 「勇気を与えられる選手になりたい」

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 創設4年目の北海道フロンティアリーグに今年、異色のプロ野球選手が誕生した。工藤琉人、18歳。高校野球部に所属しなかったが、夢の独立リーグ入団を実現させたのだ。

「3年間のブランクがあるから、まずは1年頑張りたい。日本には支援学校に通う子たちもいるので、勇気を与えられる選手になりたいです。今まで僕みたいな野球選手はいなかったので、先頭を切っていきたい」

高校野球未経験ながら今季から士別サムライブレイズでプレーする工藤琉人 photo by Nakajima Daisuke高校野球未経験ながら今季から士別サムライブレイズでプレーする工藤琉人 photo by Nakajima Daisukeこの記事に関連する写真を見る

【元ロッテのクローザーも大絶賛】

 北海道出身の工藤は軽度の知的障がいを抱えている。直接話しても、事前に言われなければわからないレベルだ。

 小中と軟式野球チームに所属したが、進学先の日本体育大学付属高等支援学校(網走市)には野球部がなく、陸上部に所属した。第61回北海道障がい者スポーツ大会の陸上競技ではソフトボール投(障害区分27−少)で優勝、記録97m67は全国記録を6メートル以上も上回るほど高いスローイング力を誇っている。

 ポテンシャルに太鼓判を押すのは、ロッテで2000年代後半にクローザーを務めた荻野忠寛氏だ。

「工藤くんは高校1年生で球速130キロ近くのボールを投げ、バッティングも左打席からスタンドに放り込めました。当時は強豪校でも通用するレベルで、高校3年間しっかり野球をする環境があれば、大学や社会人で活躍する可能性もあったと思います」

 荻野氏は、知的障がいのある生徒が甲子園出場を目指せる土壌づくりを目的とする「甲子園夢プロジェクト」で指導した際、高いポテンシャルを感じたという。

 野球をあきらめられない工藤に願ってもないチャンスが訪れたのは2024年、高校生活最後の夏だった。『リーガ・サマーキャンプ』という、甲子園の地方大会で敗れた高校3年生が個人参加するリーグ戦が北海道で立ち上がったのだ。

 この舞台でアピールした石田充冴(北星学園大学附属高校)が同年秋のドラフト会議で巨人に4位、澁谷純希(帯広農業高校)が日本ハムに育成2位で指名された。

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