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元プロもポテンシャルに太鼓判! 高校野球未経験、支援学校出身の18歳が独立リーガーに 「勇気を与えられる選手になりたい」 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 一方、リーガ・サマーキャンプの7試合で打率.278、5打点を記録した工藤の道も開けた。「卒業後、独立リーグでプレーしたい」という記事をKAMIKAWA・士別サムライブレイズの球団関係者が見つけ、入団に至ったのだ。菅原大介球団代表が明かす。

「2025年は在籍する選手の道内出身率を高めようという目標を掲げ、いろんな情報を集めている頃に出会いがありました」

【球団は二刀流挑戦も視野に】

 球団は9月中旬に学校を通じてコンタクトし、オンラインでの家族や本人とのやり取りを経て、10月に士別でトライアウトを実施。菅原代表は想像以上の好印象を受けたという。

「監督や選手とのコミュニケーションに重きを置いて見ると、普通の元気な高校生という感じでした。すごく印象に残ったのは、野球をやりながらキラキラしていたことです。少し肩を痛めていたようですが、影響ないくらい勢いのある球を投げていて、ピッチャーとしてすぐに使えるのではと。外野手としては肩も強いし、足もある。守りでは硬式球への慣れが必要と感じましたが、『2カ月くらいあれば、モノになるのでは』と球団の指導者は話していました」

 工藤は本来、打撃が持ち味の外野手だ。球団が投打の二刀流で考えているのは、実戦での判断が必要になるからだという。菅原代表が説明する。

「起用法は監督に一任していますが、実戦でサインが出た際や塁間で判断を求められた時にどこまでできるか。学校の先生や保護者からは、『普段は問題ないけれど、どうしても落ち込んでしまった時などに判断力に影響が出る』という話がありました。そうした場合のリカバリーを注意深くサポートする必要があるので、監督とは『ピッチャーから始めたほうが、チームに入りやすいのでは』と話しています」

 対して、工藤は野手一本を希望している。

「僕は上を目指しています。外野もやりながらピッチャーとして投げるなんて、NPBでもいません。(大谷翔平さん?)あの選手は例外です(笑)。二刀流は、そんなに簡単なことではありません。自分としては外野で生き残りたい」

 独立リーガーになれた時点で快挙だと周囲は喜ぶ一方、工藤はその先を見据えているのだ。

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