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選手として最高潮の時期に日本代表に呼ばれなかった名良橋晃「トルシエのことは嫌い。今も、です」

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

私が語る「日本サッカー、あの事件の真相」第29回
自らの信念を貫いた攻撃的サイドバックの数奇なサッカー人生(3)

 日本代表が初めてW杯に挑んだフランス大会。グループリーグ初戦のアルゼンチン戦と2戦目のクロアチア戦を戦い終え、名良橋晃はあらためて痛感させられたことがあったという。それは、W杯は今まで経験してきたどの大会とも異なり、極めてシビアな大会、ということだった。

「僕が小さい頃に抱いていたW杯のイメージって、いろいろな国の人たちがサッカーを見にスタジアムにやって来る世界的な祭典、みたいな感じでした。でも、自分が経験したW杯は、そんな甘いもんじゃなかった。どのチームも勝つために真剣だし、背負っているものも違った。サッカーの厳しさ、世界で勝つ難しさがW杯にはあるな、と思いました」

 グループリーグ最終戦の相手は、ジャマイカだった。ともに連敗を喫して、グループリーグ敗退は決まっていたが、W杯初出場同士の対戦でどちらが勝つのか。各々の国では、W杯初勝利への注目が集まっていた。

「2連敗して、このまま終わるわけにはいかない。岡田(武史)さんは(戦前に)ジャマイカ戦での勝ち点3は計算していましたし、僕らも初勝利を挙げて勝ち点3を取る気持ちでいました。サポーターからも、勝てるとすればジャマイカ戦で『1点取って勝ってこいよ』といった声が大きかった。

 W杯での初勝利を4年後の日韓大会につなげたい、という思いもあったので、この試合は絶対に勝たないといけない――そんな意識でいました」

 序盤から日本は攻勢に出た。名良橋もこれまでの2試合よりも高い位置を取り、積極的に仕掛けていった。「負けられない」という気持ちが、名良橋の攻撃へのマインドを刺激していた。

 だが、勝利に向けて気負いを見せる日本を手玉に取るように、ジャマイカが効率よく得点を重ねていく。前半39分、後半9分と、ジャマイカの中心選手であるセオドア・ウィットモアがゴールを決めた。

「みんな、気持ちが入ってプレーしているなか、ポンポンと2点を取られてしまって......。W杯に出てくる国は、やっぱり強いなと思いましたね。(2点リードされたあと)ゴンさん(中山雅史)がゴールを決めて1点返しましたけど、もう1点がなかなか取れない......。(試合中)歯痒さをずっと感じていました」

 日本は結局、ジャマイカに1-2で敗れてグループリーグ3戦全敗。初めてのW杯での戦いが終わった。

「これが、現状の自分たちの力なんだと思い知らされました。同時に、あれだけ苦しんだ最終予選でようやく手にしたW杯出場なのに、あっという間に終わってしまった悲しさ、悔しさもありました。今振り返っても、1プレー、1プレー、後悔することが多いです。

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