元プロもポテンシャルに太鼓判! 高校野球未経験、支援学校出身の18歳が独立リーガーに 「勇気を与えられる選手になりたい」 (4ページ目)
【チームにとっても大きな挑戦】
工藤が夢の第一歩を踏み出す一方、球団を含むイトイグループにとっても大きな挑戦になる。
本拠地を置く旧朝日町(※2005年に士別市と合併)は人口約1000人という規模のなか、2023年12月にブレイズアカデミーという小中学生のジュニアチームを立ち上げた。地元の少年野球チームが解散するなか、子どもたちに活躍の場をつくろうと立ち上げ、市内外から約50人が参加している。そうしたジュニア選手を含め、工藤は希望の星になるのではと菅原代表は期待を寄せる。
「エンタメの少ない地域ですが、選手たちは地域のおじいちゃん、おばあちゃんの推しになり、差し入れをすごくいただきます。煮物や漬物、混ぜご飯、おでんなどを鍋で持ってきてくれ、昔の日本を見ているようです(笑)。おそらく、工藤は相当応援されるのではないでしょうか。彼を追う選手もたくさんいると思います」
高校時代に大好きな野球をプレーできなかった工藤だが、陸上部に在籍しながら「野球のために」とウエイトトレーニングに励み、パワーアップを果たした。そして母親が見つけてくれたリーガ・サマーキャンプというチャンスを生かし、夢を実現させた。
「リーガでは初めて会った選手たちとチームを組んで野球ができ、これからも頑張ろうと思いました。プロ(NPB)に行った子もいるし、負けないようにこれからも努力していきます。家族のおかげでリーガに参加でき、独立リーグにも入れたので、そういう感謝をプレーに込めていきたいです」
努力と幸運の巡り合わせで夢の独立リーガーになれた工藤琉人は、この先、どんな活躍を見せてくれるだろうか。楽しみな挑戦が、もうすぐ始まる。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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