【MLB】鈴木誠也がメジャー4年目で覚醒 カブス打撃コーチは「高打率よりOPS重視」の変化を挙げる
カブスの主軸としてカブスの快進撃を支える鈴木誠也 photo by Getty Images
前編:鈴木誠也、メジャー4年目の開眼
シカゴ・カブスの鈴木誠也がメジャーでも開花の時を迎えている。好調のチームの中軸として、ハイペースで本塁打、打点を量産。得点圏打率は.333(成績は現地時間6月12日時点、以下同)と高く、仲のいい同僚の"PCA"ことピート・クロウ・アームストロングとともに57打点ではナ・リーグ2位タイと勝負強さを発揮している。同1位のピート・アロンソ(ニューヨーク・メッツ)に6差と、打点王も射程圏内に入っている。
メジャー4年目を迎えた鈴木に何が起こっているのか。カブス打撃コーチのダスティン・ケリー、スポーツメディア『The Athletic』の番記者であるサハデフ・シャーマ氏に意見を求めた。
まず前半ではケリー打撃コーチに鈴木の打席でのアプローチの変化、シーズンを通じて目標とすべき数字などについて尋ねた。
【「過去3年の経験が打席の安定感に影響」】
今季の誠也は得点圏にランナーがいる状況では非常に強く、多くの打点を稼いでくれている。その要因として、大きな特徴はストライクゾーンの中の球をより積極的に打ちにいっていることだ。
誠也は常に選球眼がよく、ストライクかボールかのボーダーラインの球を見極め、(ボールになる球を)見逃してきた。そんな彼が今年は自身のゾーンを少し広げ、打ちにいくようになった。
彼のスイング自体は非常にすばらしく、スイングするかどうかの判断も優れているので、「ゾーン内でもう少し仕掛け、1球目から安打を狙ってほしい」というのがもともと私たちの希望だった。それを実践して、功を奏していることはシーズン前半の成績にも表われていると思う。
より積極的に打つようになった背景として、メジャーでも4年目を迎えて精神的に落ち着いていることが大きいだろう。このリーグに慣れ、打線のなかでの自身の役割は得点を叩き出すことだと理解している。必ずしも典型的な"パワーヒッター"である必要はなく、中軸打者として相手にダメージを与える選手でなければならないと気づいている。
メジャーで実績あるカイル・タッカーがオフにトレードで加入し、誠也の前後の2、3番を打っていることも助けになっている。タッカーも誠也と同じように辛抱強いが、失投は見逃さない打者でもある。今季の誠也を見ていると、タッカーと似たアプローチをしているように見える。
先ほど述べたように、過去3年メジャーで経験を積んだことは、打席での安定感という点でも好影響を及ぼしている。どんな強打者でも、数週間にわたって苦しむ時期は必ずある。誠也もまたメジャーで何度かそういう期間に直面し、今ではそういった際の対処法がわかってきたのだろう。
ヒットが出なくても今の誠也は以前ほどパニックにならない。「何かメカニカルの面で修正できるのではないか、それとも不運が続いているのか」と冷静に自問自答している姿を目にしてきた。打球速度を見ても、誠也は強烈な打球を飛ばすようになっているが、それでもヒットにならないことはある。そういう時、「とにかく今やっていることを続けよう。ボールを強く打ち続ければ、ヒットは出るんだから」と信じられているのだろう。
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著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

