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【MLB】鈴木誠也がメジャー4年目で覚醒 カブス打撃コーチは「高打率よりOPS重視」の変化を挙げる (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

【「PCAとの間には楽しい競争意識が生まれている」】

鈴木の好調の要因を解説してくれたカブスのケリー打撃コーチ photo by Sugiura Daisuke鈴木の好調の要因を解説してくれたカブスのケリー打撃コーチ photo by Sugiura Daisuke

 ケリー打撃コーチの指摘どおり、2025年の鈴木はファーストストライクを打った際は打率.438、4本塁打、OPS(出塁率+長打率)1.293と強さを発揮している。また、平均打球速度、打球角度、バレル率(バットのバレルゾーンで打つ確率)なども軒並みメジャーでの自己最高の数字。四球率(8.7)、出塁率(.325)こそ自己最低であっても、よりアグレッシブにスイングした結果、生産的な打者であり続けているのは明白だ。

*バレルとは選手の全打球のなかで、長打になる確率が高いとされている打球の速度と角度の組み合わせを示す指標。

 当然のことながら、私たちはカブスの選手たちがボールを力強く打つことを望んでいる。なかでも誠也の真骨頂は、フィールドを広角に使い、左中間、右中間に強烈な打球を飛ばせることだ。引っ張ってのホームランも常に打てる。いずれにしても、彼の本領は飛球を打った時にこそ発揮される。

 ご存じのとおり、これは誠也に限らずどの選手でも同じだが、ゴロを打つ回数が多すぎると打者の生産性は限定されてしまう。だから誠也にも飛球を打ってほしい。彼が最高の状態にあるのは、外野手の間に打球を打つ時なのだから。

 日本でプレーしていた頃の誠也が高打率を残していたのは知っているが、彼は私たちが望んでいる長打中心のアプローチに慣れてきていると思う。相手にダメージを与えることを重視するのがアメリカでの考え方。私たちは打率よりもOPSのほうが重要だと考えている。

 カブスには高打率を狙い、その面で優秀な数字が残せる選手もいるが、誠也は長打率、打点、本塁打、二塁打でなどで優れた成績が残せる打者だ。だとすれば、高打率をマークするのはほかの選手たちに任せ、得意とすることを上手に研ぎ澄ませてやっていってほしい。

 OPSが.800台か、今後も.800台後半をキープしてくれるのならばすばらしい(現在は.864)。それをクリアしているとき、誠也は十分に四球を選び、本塁打や二塁打が打てているということだ。

 最後になるが、誠也とPCA(ピート・クロウ・アームストロング)の間に楽しい競争意識が生まれていることは私も知っている。ふたりはまるで兄弟のようにベースボールの話をしていて、フレンドリーなライバル意識があると思う。どちらもベースボールが大好きで、プレーすること、競い合うことを好んでいる。チームメイトとの間でちょっとした競争を楽しんでいることは容易に想像できる。だから誠也とPCAが互いに刺激し合い、相乗効果でチームを引っ張っていってくれることを私も楽しみにしているよ。

つづく

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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