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三冠王の立教大・山形球道 非エリートの悩める心境「プロ志望届を出したい気持ちはありますが...」

  • 大友良行●文 text by Ohtomo Yoshiyuki

 今年、創立100周年を迎えた東京六大学リーグ。春のリーグ戦は、明治大との優勝決定戦に勝利した早稲田大が3連覇を達成した。そのなかで終盤まで優勝争いを演じた立教大の奮闘は、久しぶりに神宮球場を盛り上げた。

 リーグ戦の全39試合中、1点差ゲームは13試合あったが、そのうち8試合が立教大だった。早稲田大、明治大との勝率差は0.077。あと1勝していれば、優勝の行方は変わっていたかもしれない。

今春のリーグ戦で戦後史上18人目の三冠王に輝いた立教大の山形球道 photo by Ohtomo Yoshiyuki今春のリーグ戦で戦後史上18人目の三冠王に輝いた立教大の山形球道 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る

【非エリートたちの活躍】

 立教大の木村泰雄監督は、春の戦いをこう振り返った。

「初戦の慶応大との第3戦を落としたのが最後まで響きました。本当に残念です。ただ、選手たちは"神宮で勝ちたい"という強い思いを持ち、よく頑張ってくれました。特に法政大との第2戦、早稲田大との第1、3戦のサヨナラ勝ちはチームに勢いを与えてくれた。優勝争いに最後まで食い込めたことは、選手たちの大きな自信になったと思います。秋につなげていきたいです」

 優勝こそ逃したが、立教大は「台風の目」として劇的な試合展開を見せた。

 ゲーム後半になると、スタメンで出場しているが、もうひとつ調子の上がらないアスリートと呼ばれる甲子園出場経験のある選手たちに代わって、無名に近い一般受験、 指定校、 系列校出身の選手たちが 「待ってました!」とばかりに代打、代走、守備固め、リリーフなどで出場し、試合の流れを変えていく。

 そのように甲子園経験がなくても、練習で成果を見せることができれば試合に出られる──そんなチーム方針のもと、多くの選手が活躍を見せた。

 大越怜(4年/東筑)、小林誠明(3年/日大二高)、河野優輝(2年/広島新庄)、住井力(2年/立教新座)、堀田壮真(3年/東筑)、長島颯(1年/東農大三高)らがそうだ。そのなかで象徴的存在となったのが、山形球道(4年/興南)だ。

「春のキャンプから調子がよかった」と言うだけあって、開幕の慶應大戦からとにかく打ちまくった。

 山形は東京生まれで、両親と3人家族。中学時代は、硬式の大田リトルシニアで外野手と投手をしていた。ただチームは人数不足で1回戦敗退が続き、注目される存在ではなかった。

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