三冠王の立教大・山形球道 非エリートの悩める心境「プロ志望届を出したい気持ちはありますが...」 (3ページ目)
東京六大学の三冠王は、岡田彰布氏(早稲田大→阪神)、高橋由伸氏(慶應大→巨人)、鳥谷敬氏(早稲田大→阪神)など、錚々たる顔ぶれた。直近では、慶應大の栗林泰三氏(現・JR東日本)が2020年秋のリーグ戦で達成している。また立教大としては、槌田誠氏(巨人)以来となる史上2人目、59年ぶりの快挙だった。
選手としては、山形はプロスカウトからどう見られているのだろうか。DeNAの木塚敦志スカウトに聞くと、こんな答えが返ってきた。
「迫力あるスイングが彼の持ち味です。筋トレでしっかり鍛えているんだろうな、というイメージが湧いてきます。下半身からバットがしっかり出ていて、試合でもインパクトのある場面で打っていました。この春までは、そこまで印象に残る選手ではなかったのですが、"振る力"には本当に魅力を感じます。立大打線の選手たちが迷いなく振れているのは、切り込み隊長である山形選手の存在が大きいのではないでしょうか。今春、立大が活気づいた要因のひとつだと思いますし、チーム全体の頑張りにもつながりましたね」
山形自身は、この春の成績について次のように語る。
「よく大振りだと言われますが、自分はコンパクトに振っているつもりです。それに自分の持ち味であるゾーンで強く振ることはできたと思っています。シーズン前から、チーム全体でスイングスピードを上げるように練習してきました。また除脂肪体重を増やすために、ウエイトや食事を見直そうとみんなでやってきました。
次の目標はプロなので、志望届を出したい気持ちはありますが、すでに就職先が決まっているのでどうなるかわかりません。ただ三冠王を獲れたことで、挑戦できる立場になったのかなと思っています」
春で得た自信を胸に、秋はどんな活躍を見せてくれるのか。決して"野球エリート"ではない山形の活躍は、多くの人に勇気を与えたに違いない。
フォトギャラリーを見る
3 / 3