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元DeNAの有望株が楽天戦力外を経てたどり着いた異国の地 櫻井周斗がカリビアンシリーズでつかんだ希望の光

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 メキシコのバハ・カリフォルニア州メヒカリで開催された第67回カリビアンシリーズは1月31日の開幕戦から連日、最高気温28〜29度という晴天に恵まれた。「Baja(バハ)」はスペイン語で「下」という意味で、ちょうど北にあるアメリカのカリフォルニアと同じように人々を幸せにする気候だ。

 ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコの選手たちが陽気な顔を見せているのと対照的に、現地時間(以下同)2月2日の試合前、ベンチで鬱々とした表情の日本人選手がいた。特別招待枠で招かれたジャパンブリーズで前日、初戦のドミニカ戦で先発した左腕の櫻井周斗(元DeNA、楽天)だ。

ジャパンブリーズのメンバーとしてカリビアンシリーズに参加した櫻井周斗 photo by Nakajima Daisukeジャパンブリーズのメンバーとしてカリビアンシリーズに参加した櫻井周斗 photo by Nakajima Daisukeこの記事に関連する写真を見る

【何かを変えるしかない】

 ロビンソン・カノ(元マリナーズなど)やヤマイコ・ナバーロ(元ロッテなど)、ホセ・マルモレホス(元楽天など)ら実力者の並ぶ相手打線に対し、3回を投げて被安打3の4失点。ローリングス社の縫い目の高い公式球を思うように操れず、5つの四球を与え、また暴投を連発するなど制球に苦しんだ。

「ドミニカと戦っているというより、自分と戦っている感じがすごくしました。どうしてもバッターと勝負しきれていなかった。根本のところですよね」

 中南米ではワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に勝るとも劣らない盛り上がりを見せるカリビアンシリーズに、櫻井は並々ならぬ決意で臨んだ。2024年限りで楽天を戦力外になり、新たに目指す道に踏み出す前、絶好の機会が訪れたからだ。

「戦力外になって、最初は引退しようかなと考えていたけど、自分のなかでまだ野球でキャリアを築きたいと。野球でお金を稼ぎたい。両親がすごく野球好きなので、自分がプレーする姿をまだ見せ続けたい。いろんなことを考えて、野球を続ける選択をしました」

 日大三高時代は甲子園やU−18日本代表で活躍し、2017年ドラフト5位でDeNA入団。高卒1年目から開幕一軍入りを争い、2021年には30試合に登板したが、左ヒジの手術もあって翌年育成契約に。2023年支配下に復帰するも、2年続けて一軍登板なしに終わって同年の現役ドラフトで楽天へ移籍した。だが8試合の登板にとどまり、在籍は1年に終わった。

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