名コーチ・伊勢孝夫がヤクルト二軍の若手に苦言 「なぜ村上宗隆をもっと質問攻めにしない」
ヤクルト・村上宗隆が、今シーズン終了後のメジャー挑戦を公言している。ヤクルトにとって「ポスト村上」の育成は最重要課題である。そこで野村克也監督時代に打撃コーチとしてヤクルト黄金期を支えた伊勢孝夫氏が、宮崎・西都でキャンプを張るヤクルト二軍を視察。はたして、「ポスト村上」候補はいたのだろうか。
キャンプ序盤は二軍で調整を行なっていたヤクルト・村上宗隆 photo by Sankei Vusualこの記事に関連する写真を見る
【ポスト村上の有望株は?】
キャンプを視察する際、特定の選手を注視する場合と、先入観を持たずに全体を見る場合とがある。評論家としてチームの練習を視察できる時間は限られており、その短い時間のなかで、どの選手がどのようなプレーをしているのかを見極めることが求められるわけだ。
2月上旬、私はヤクルトの二軍キャンプが行なわれている西都を訪れた。ここに来るのは約10年ぶりだ。私がヤクルトの打撃コーチを務めていた頃は、一軍のキャンプも西都で行なわれていたが、現在は沖縄・浦添に移り、今は二軍のみだ。
グラウンドに足を踏み入れると、懐かしい顔ぶれが揃っていた。池山隆寛、城石憲之、土橋勝征......かつては一緒に戦い、苦楽をともにした選手たちだ。彼らが今は二軍監督、コーチとして、次世代の育成に励んでいる。
練習中の彼らの表情には指導者としての責任感がにじみ、頼もしさを感じた。二軍監督の池山はバッティングピッチャーも務め、精力的に動いている姿が印象的だった。
しかし、私が西都を訪れたのは懐かしさに浸るためではない。ヤクルトの未来を担う若手選手たちの姿を確認するためだ。
私は馴染みのコーチたちに「有望な若手はいるか?」と尋ねた。しかし、返ってきたのは苦笑い。「村上の穴をどう埋めるんだ?」とさらに問いかけると、「ムネ(村上)の穴は埋められませんよ」との答えが返ってきた。「それはそうだが、今から対策を立てないと、後々苦しむことになるぞ」と続けても、コーチたちはまた苦笑するばかりだった。
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著者プロフィール
木村公一 (きむらこういち)
獨協大学卒業後、フリーのスポーツライターに。以後、新聞、雑誌に野球企画を中心に寄稿する一方、漫画原作などもてがける。韓国、台湾などのプロ野球もフォローし、WBCなどの国際大会ではスポーツ専門チャンネルでコメンテーターも務める。