名コーチ・伊勢孝夫がヤクルト二軍の若手に苦言 「なぜ村上宗隆をもっと質問攻めにしない」 (2ページ目)
ヤクルトの次世代を担う選手を挙げるとすると、まず長岡秀樹の名前が浮かぶ。昨年はフル出場(143試合)を果たし、セ・リーグ最多安打(163安打)のタイトルを獲得して、ベストナインにも選出された。しかし村上とはタイプの異なる打者で、首脳陣からすればやはり長距離が打てる打者の出現を期待したいところだ。
3年目の澤井廉も期待されているが、まだレギュラー争いにすら加わっていないのが現状だ。将来を見据えるならば、次々と名前が挙がるくらいの層の厚さが必要だ。しかし今のヤクルトは、一軍の浦添組ですら人材不足が目立つ状況で、二軍の西都も同様だった。
特に村上のような長距離砲の穴を埋めるのは、コーチの指導だけで解決できる問題ではない。まずはスカウティングから見直す必要がある。長距離砲候補を定期的に指名し、数年後、一軍で活躍できるどのように育成していくのか、まずはチームの方針を確立すべきだ。
【二軍は技術を盗む場でもある】
今回、偶然にも二軍で調整していた村上のバッティング練習を見ることができた。オフに右ヒジのクリーニング手術を受けた影響でキャンプは二軍スタートとなったが、いい感じでバットが出ていた。無理なく、力まず、丁寧に、あくまでしっかり叩くことに集中していた。だからバットはスムーズに出るから、ボールはいい回転で飛んでいく。特にレフト方向にしっかり打っているのを見て、安心した。これこそが村上の持ち味であり、順調な調整ぶりがうかがえた。
西都という静かな環境で練習に集中できたことは、村上にとってよかったのではないか。あくまでリハビリの一環だったわけだが、気持ちの面でもプラスに働いたのではないか。自分のやるべきことに集中して取り組めている印象を受けた。
練習後、少しだけ村上と話をする機会があった。あいさつ程度のたわいもない会話だったが、話の途中で彼のバットを握らせてもらうと、グリップが以前よりも太くなっているように感じた。おそらく2ミリほどの違いだろうが、ヘッドを効かせる細いグリップを想像していたため意外に感じたものだ。
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