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プロ野球2025「新助っ人ピッチャー」のアメリカ現地評 将来を期待されていた元プロスペクトも来日

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

NPB新外国人選手の過去を紐解く(投手編)

 今シーズンから日本プロ野球(NPB)でプレーする外国人選手のなかには、昨シーズンはメジャーリーグの試合に登板した投手も少なくない。

 そうした元メジャーリーガーのうち3人は、2024年にメジャーリーグで50イニング以上を投げた。オースティン・ボス(シアトル・マリナーズ→ロッテ/32歳)がリリーフ68登板の61.0イニングで防御率3.69、マイク・バウマン(マイアミ・マーリンズ→ヤクルト/29歳)がリリーフ57登板の58.1イニングで防御率5.55、ピーター・ランバート(コロラド・ロッキーズ→ヤクルト/27歳)は先発3登板とリリーフ25登板の計61.1イニングで防御率5.72を記録した。

 ヤクルトに入団したふたりと違い、ボスの防御率は3点台だ。防御率だけを比べれば、左右の違いはあるもののわずかながら同じリリーフの松井裕樹(サンディエゴ・パドレス)よりいい数字を残している。松井は昨年、リリーフ64登板の62.2イニングで防御率3.73を記録した。松井の奪三振率と与四球率は9.91と3.88、ボスは9.00と2.66だ。

阪神の新助っ人デュプランティエ photo by Kyodo News阪神の新助っ人デュプランティエ photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る ボスにはメジャーリーグで投げ続けるという選択肢もあったように見える。ロッテの入団発表のコメントに「先発としてのオファーをしてくれた千葉ロッテマリーンズに入団することを決めました」とあるように、ボスは先発登板の機会を求めていた。

 先発投手としての実績も、まったくの皆無ではない。メジャーリーグでシーズンふたケタの先発登板は2度。2020年は先発11登板の49.2イニングで防御率6.34、2022年は先発17登板の76.1イニングで防御率3.07を記録している(2022年はほかにリリーフ24登板)。

 フォーシームの平均球速は90マイル台前半とそう速くなく、打者から見て時計の文字盤の11時から5時に向かって落ちるカーブをベストピッチとする。11年前に野球ウェブサイト『ファングラフス』のカイリー・マクダニエル(現ESPN)が書いた記事によると、あるスカウトはボスについて「最高のシナリオどおりならタナー・ロアークのような投手になる」と言っていたという。

 記事の当時、ワシントン・ナショナルズで頭角を現し始めていたロアークは、2014年〜2019年の6シーズン中5シーズンで規定投球回に達し、2014年と2016年は防御率2点台を記録した。また、2017年はアメリカ代表としてWBCに出場。準決勝の日本戦は先発マウンドに上がり、4イニングを無失点に封じた。ボスも日本の打者を相手に、ロアークのような好投を演じるかもしれない。

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