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元DeNAの有望株が楽天戦力外を経てたどり着いた異国の地 櫻井周斗がカリビアンシリーズでつかんだ希望の光 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

「ドミニカ戦で打たれたのはカットボール、ツーシームだったので、それ以外のボールで勝負しようと。短期決戦のなかで勝負できている球と、そうではない球をドミニカ戦で見極められました。『(メキシコ戦では)真っすぐとスライダー、フォークを中心にいこう』と(投手コーチの高橋)尚成(元巨人、エンゼルスなど)さんとも話して、その準備が結構うまくいった感じです」

 序盤の好ゲームから大差のついた6回、1万7000人が詰めかけた球場の緊迫感は薄らいでいたなか、櫻井の野球人生にとって大きな意味のあるマウンドだった。

「ドミニカ戦では真剣勝負で負けた悔しさではなく、そこまでいけなかった悔しさが残りました。メキシコ戦では、それだけはないように。まずは自分がやりたかった勝負をして、それでうまくいったか、いかなかったかの反省が出れば、自分のなかで何か結論づけられると。その勝負ができて、結果として抑えられました」

 試合途中でマウンドに上がり、左腕から強い速球やキレのあるスライダー、フォークで押し込んでいく。DeNAや楽天の首脳陣たちが、中継ぎで使いたくなるのも頷ける投球内容だった。

 そう話を振ると、櫻井は異なる見解を示した。

「メキシコ戦ではリリーフで回またぎをして、このピッチングを先発でもやるべきだって感じました。NPBではリリーフをずっとやってきて、今回、久しぶりに先発です。メキシコ戦では、そこの感覚のすり合わせをできた感じがありました。それは今後先発でやるにあたっての心持ちになります。先発だからって、そんなに気にしなくてもいいんだなって」

【現役続行の決断をしてよかった】

 日本から遠く離れた異国にやって来て、これまでの野球人生とは大きく異なる環境に身を投じた。カリビアンシリーズで登板し、何を得られただろうか。

「野球のスタイルは違えど、野球という競技をどの国でもやっていて、その点は平等というか。カリビアンシリーズで使うボールはどのチームにも統一されていますし、マウンドも一緒。そのなかで自分の実力が通用するかという点は、日本の時と変わらなくて。自分の実力が出せれば通用するし、出せなかったら通用しない。自分が思っていたより、シンプルでした」

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