高木豊の「助っ人通信簿」パ・リーグ編 全体的には低調も、高く評価した球団は? (6ページ目)
◆西武【野手×/投手△】
歴史的な低迷で最下位となった西武は、打線の中軸として期待したヘスス・アギラーとフランチー・コルデロが不発。核のない打線は深刻な得点力不足を招いた。
「アギラー(退団)はバッティングに柔らかさがあって期待していたのですが、日本のピッチャーにアジャストできませんでしたね。コルデロ(退団)はパワーが売りでしたがバットに当たらない。1年目の助っ人はある程度我慢して起用していくことも多いのですが、チーム事情がよくなくて我慢できない状況でした。
7月に支配下契約した両打ちのアンソニー・ガルシアも、期待していたんですけどね......。両打ちで、打席の雰囲気がいいですし、パワーもあるので慣れたら面白いかなと。今年は育成契約になるようですが、体が大きくて若いですし、長い目で育てていってもいいかもしれません。
ボー・タカハシは先発と中継ぎ、どっちつかずだった感じですね。でも、球種は少なめなのでショートイニングのほうがいいでしょう。33試合に登板(先発は9試合)していますが、いろいろな場面で投げてくれたのはチームにとってありがたかったはずです。
ジェフリー・ヤン(退団→コロラド・ロッキーズとマイナー契約) は、勝ち負けがつかない試合でよく投げていましたが、信頼を得るまでのピッチングではなかったということでしょう。
アルバート・アブレイユ(退団)は個人としては〇でしたが、シチュエーション次第なんですよ。イニングの頭から投げさせるといいピッチングをしますけど、ランナーを背負った場面で登板するとダメ。同点の場面で出た時の負けが何回かあったと思います。ボールに力があってスライダーがいいのでクローザー候補かと思っていましたが、退団となったようで残念です」
【主な助っ人外国人の成績】
(野)アギラー<退団> 30試合 打率.204 2本塁打 10打点 出塁率.274 OPS.575
(野)コルデロ<退団> 23試合 打率.129 1本塁打 4打点 出塁率.151 OPS.351
(野)ガルシア<育成契約> 19試合 打率.131 1本塁打 4打点 出塁率.232 OPS.494
(投)ボー・タカハシ 33試合 2勝9敗 防御率3.22
(投)ヤン<退団→コロラド・ロッキーズとマイナー契約> 37試合 0勝0敗2ホールド 防御率5.58
(投)アブレイユ<退団> 52試合 2勝5敗11ホールド28セーブ 防御率2.39
【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)
1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。
■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア
著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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