広岡達朗が語る村上宗隆と清宮幸太郎への期待と不安 「打率2割4分台でメジャー挑戦なんて馬鹿げている」「監督が新庄じゃなかったら...」
同世代のライバルというのは、いつの時代も見る者を熱くさせる。村上宗隆(ヤクルト)と清宮幸太郎(日本ハム)──言わずと知れた、同世代のライバルである。
高校時代は通算111本塁打を放った清宮に注目が集まったが、プロ2年目以降は村上がリード。そして2022年に村上が史上最年少で三冠王を獲得すると、その差は決定的となった。だが昨年、清宮は規定打席未到達ながら打率3割をマークし、15本塁打を放つなど、才能を開花させつつある。
はたして、ふたりの差は縮まったのか? ヤクルト、西武の指揮官として三度の日本一に輝いた広岡達朗に、来シーズンのメジャー挑戦を明言している村上と、ようやく覚醒した感のある清宮について語ってもらった。
昨シーズン、本塁打と打点の二冠王に輝いた村上宗隆だが、打率は.244と苦しんだ photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る
【圧倒的な成績を残してメジャーに行くべき】
「昨シーズン、村上がホームランと打点の二冠王を獲ったからといって、打率2割4分台でメジャー挑戦なんて馬鹿げている。村上は22年に史上最年少で三冠王を獲ってから、なんだかやりきってしまったように見える。ここ1、2年は目標を失って、過去の自分と戦っているような気がしてならない。
メジャーに挑戦することがモチベーションアップにつながるのはいいことだが、ピッチャーと違って野手は日本で圧倒的な成績を残して行かないとすぐダメになるぞ。吉田正尚や鈴木誠也を見れば、日本であれだけ活躍したのに、メジャーでは不動のレギュラーになれていない。それが現実だ」
村上は、2024年が.244、23年は.256と三冠王に輝いた22年以降、特に打率の面で苦労しているのがわかる。巨人からヤンキースに移籍した松井秀喜も、渡米前の4年間は3割を超えていたし、井口資仁も移籍前の2年間は3割超えだ。
メジャーは、155キロ以上のストレートを高めに投げるハイファストボールが全盛で、高めの速いストレートと鋭い変化球を低めに投げ、高低差でバッターを打ちとるのが主流となっている。
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著者プロフィール
松永多佳倫 (まつなが・たかりん)
1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年 8 月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。