高木豊「外国人選手のレベルは下がっている」活躍できない助っ人が多い理由を分析 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――以前はプロ野球が、メジャーの舞台からこぼれていた優秀な選手の活躍の場になっていたわけですね。マイナーリーグの待遇(年俸、移動の負担など)も改善されていますし、積極的に日本でプレーすることを求める外国人選手が少なくなっているのかもしれません。

高木 そうですね。なので、これからは外国人選手に過度な期待はしないほうがいいと思います。日本人の選手でも、今季は3割を打ったのがセ・リーグで3人、パ・リーグで2人だけ。本塁打王争いにしても、昔は上位に外国人選手の名前が多かったですが、今季のトップ3にいたってはセ・パ通じてロッテの(グレゴリー・)ポランコだけですから。

――もはや"助っ人"と呼べる状況ではない?

高木 選手たちも、あまり"助っ人"とは感じていないでしょう。一目置くということも全然なく、単にチームメイト。本当に友達感覚でやっていますよ。

――高木さんの時代は、外国人選手に対する見方が違いましたか?

高木 「高い年俸をもらっているんだろうから、打ってくれよ」っていう感じで見ていました。「打ってもらわなきゃ困る。打って当たり前」という位置づけでしたね。今は、先ほども言ったように友達みたいな感じですし、「日本でうまくなりたい」と思っている外国人選手もいるくらいですから。

――外国人選手に過度な期待はできない、ということでしょうか?

高木 あまり期待はしないほうがいいと思います。打率、本塁打、打点、出塁率にしろ、トップ10に入るぐらいの成績を残してくれれば十分じゃないですか。最初からホームラン30本とか、打率3割とかを期待してしまうと現実とのギャップが出て、打てなかった時にすぐに代えることになる。

でも、目標を低めに設定しておけば、ある程度我慢して起用し続けることができると思うんです。起用し続ければ、結果的にアジャストして想定よりも打ち出すこともあるはず。とにかく、昔とは違った使用法などを考えないといけないですし、見る側も長い目で見る必要があるでしょう。

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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