高木豊「外国人選手のレベルは下がっている」活躍できない助っ人が多い理由を分析 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――バースさんやデストラーデさんなどは、メジャーでそこまで実績を残していなかったのに、日本で好成績を残しましたね。

高木 僕も彼らが活躍していた時期は現役でしたが、その頃はまだ日本人ピッチャーの真っ直ぐが遅かったですから。真っ直ぐが遅いということは、変化球はさらに遅いということ。高速スライダーなどもなく、通常のスライダーでしかなかったですからね。

 フォークボールに関しても、今は140キロを出すピッチャーも珍しくないですが、当時は130キロ前後でした。当時のピッチャーに比べて今は球速が10キロ増し。真っ直ぐも150キロを超えるのが当たり前で、150キロ台中盤を出すピッチャーも多くなっています。球種もすごく増えていますし、バッターが昔みたいな成績を残すのは難しいと思いますよ。

 当時、メジャーのピッチャーの球を経験しているバッターにとって、日本のピッチャーは「メジャーから10年遅れている」という認識だったと思うのですが、今はその誤差がなくなっていますからね。日本に来たからといって簡単に打てる時代ではありません。

――プロ野球のピッチャーの質は、今やメジャーと遜色がない?

高木 ピッチャーの質とか球の速さに関しては遜色ないと思います。パワーはまだ追いついていませんが、数字に表われる部分はずいぶん追いついてきましたね。真っ直ぐの速さ、スライダーやカットボール、ツーシームといった変化球の精度などはそれほど変わりません。球が速いピッチャー、変化球の精度が高いピッチャーの絶対数は、メジャーのほうが多いでしょうけど。

【もう"助っ人"ではない】

――日本のピッチャーの質が向上している一方、日本に来る外国人野手のレベルはどう見ていますか?

高木 レベルは下がっています。昔と比べるとメジャーも球団が増えていますし、優秀な選手の受け皿が必然的に多くなる。それと、メジャーでは2020年からベンチの登録枠が25人から26人に拡大していますし、2022年からは年俸の最低保証額が上がったほか、ナ・リーグでも指名打者制がスタートしました。そういったことも、日本に来る野手たちの質に影響していると思うんです。

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