1992年の猛虎伝 阪神移籍後の高橋慶彦は「新庄と代えて」と進言「真面目な話、心残り」 (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 高橋自身、引退後はダイエー(現・ソフトバンク)、ロッテ、オリックスでコーチ、二軍監督を歴任している。阪神では不本意なことに二軍で過ごす時間が長かったわけだが、その経験が指導に生かされた面もあるのではないか。

「ないな。指導って、現場で選手のなかに入ってみて、勉強していくことやから。そういう面では、指導者になると、逆に選手に勉強させられる。頭が変わっていかないとダメやからね。『オレたちの時はこうだった』というのは通用しないから」
 
 とすると、高橋にとって阪神時代は、結果的に18年間の現役生活における最後の2年間でしかなかったということだろうか。

「そうやね。だから、『阪神ファンのみなさん、ごめんなさい!』。今でもすごく心が痛いです。真面目な話、心残りです......。もうちょっと早くカープから行っときゃあね、何とかなったけど、球団が出さんからね。出したら大事件やったな(笑)」

(=敬称略)

高橋慶彦(たかはし・よしひこ)/1957年3月14日、東京都生まれ。城西高から74年にドラフト3位で広島に指名され入団。78年に遊撃手のレギュラーとなり、79年に盗塁王、33試合連続安打などの活躍でリーグ優勝、日本一に貢献。80年にも2年連続盗塁王に輝き、85年には自己最多の73盗塁で自身3度目の盗塁王を獲得した。90年にロッテに移籍、91年に阪神に移籍し、92年限りで現役を引退した。引退後はダイエー、ロッテ、オリックスでコーチ、二軍監督を歴任した

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著者プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

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