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プリンスホテル最後の指揮官が語った、初の都市対抗優勝から衝撃の廃部までの顛末 (6ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 チーム結成の78年まで、石山は母校・早稲田大の監督。ゆえにプリンスの運営に集中できず、気づけば高校生の採用が決まっていた。まして、チーム始動まで自身は表に出なかったため、「石山さんはあとで雇われて入ってきた人」と見なす社員、選手が大半。早大の先輩で社長の堤義明から、直々に「チームをつくれ」と命じられたことを知る人間は皆無に等しかった。

「実際には、堤さんと私の考えでチームをつくっていきました。もともとオリンピックに力を注いでいた堤さんは、プリンス単独チームでの出場が最高の理想だったんです。一方で私には、プリンスがもしもうまく完成したら、そのままプロにしちゃっていいんじゃないか、チームごとプロに転向しちゃっていいんじゃないか、という夢がありました」

 折しも、プリンス結成から45年が経った2023年。プロ野球の発展と野球振興を目的とする、二軍の新規参入球団が決まった。当時と今と、同じ野球でもあらゆる面で違いがあるのは承知のうえだが、筆者としては、石山の夢のつづき、という気がしてならない。新球団には願わくば、プリンス一期生に匹敵するインパクトを球界全体に与えてもらいたい。

連載終了

(=敬称略)

著者プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

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