岡本和真に「もっと険しい表情で打席に立て!」 広岡達朗が唱える「真の4番」とは (3ページ目)
令和の時代に、昭和のプロ野球の話を持ち出されてもナンセンスだということはわかる。ただ広岡が言いたいのは、昭和だろうと令和だろうと、プロ野球という舞台に立って勝負するのは同じこと。戦う男たちのスピリットに時代錯誤という言葉はあてはまらない。
チームスポーツにおいて、日替わりヒーローが出るのは結構な話だが、やはり核となる選手が支柱となってチームを引っ張っていかないと優勝には届かない。その役割を大山が担えるのかどうか。クライマックスシリーズ、日本シリーズで真価を問われることになる。
最後に、広岡が挙げた期待の4番が中日の石川昂弥だ。
「石川は22歳と若く、まだ荷が重いと思うが、鉄は熱いうちに打て。久しぶりに出てきた右のプルヒッターとして、今後の成長には期待するものがある」
チームは低迷しているとはいえ、次々と若い選手が出てきた中日。なかでも、和製大砲候補である石川にかかる期待は大きい。
4番目の打者ではなく、チームの4番を担うには、常に自分を律し、重圧のなか、いかに平常心でいられるかを研鑽しなければならない。チームからもファンからも認められる真の4番がいるチームが、ペナント制覇に一番近いのは言うまでもない。それゆえ、リーグを代表する4番がひしめくセ・リーグの戦いは、来年以降さらにヒートアップしそうだ。
著者プロフィール
松永多佳倫 (まつなが・たかりん)
1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年 8 月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。
フォトギャラリーを見る
3 / 3