メキシコへ渡った元DeNA乙坂智の今。戦力外、トレードを経験するもリーグ10位の112安打で「目標はメジャーリーグ」 (3ページ目)
まだやめられない──そう思いを巡らせている乙坂のもとに連絡が入った。新たなチームはレオン・ブラボーズ。5年前に再興された若いチームだ。乙坂はすぐに荷物をまとめ、メキシコシティから330キロ北西にあるレオンへと向かった。
ここでポジションを得た乙坂は、その力を存分に発揮した。フィールドをところ狭しと駆け回りヒットを量産。そんな乙坂に目をつけたのが、サルティーヨ・サラペメーカーズだった。乙坂はトレードによりサラペメーカーズへ移籍。メキシコに来て数カ月で3つ目の球団を経験することになる。
「日本ではなかなかないですよね。僕自身、トレードは人生で初めての経験だったんですよ。こっちに来て初めて経験できたことですし、チームが変わることによってまた新しい仲間ができ、指導者にも出会えるので、野球の勉強にもなりました。そういうチャンスがあったことはすごくよかったと思います」
1シーズンで2度の移籍に日々のバス移動。ある時は1000キロ以上の移動を、行きは飛行機だったが、帰りはバスで帰ったこともある。日本とはまったく違う環境のなか、乙坂は適応していった。
「日本と比べたら、そりゃ全然違いますよね。物質的には日本のほうが恵まれていますが、そのほかの部分については決してそうだとは思いません。とにかく毎日が勉強で。いろんな国でプレーした経験のある選手がスタメンに名を連ねていて、彼らから学ぶことは多かったですね」
シーズン112安打はリーグ10位
乙坂のメキシコリーグでの成績は、打率.367、3本塁打、25打点。レギュラーシーズン90試合中、乙坂は78試合に出場し112安打はリーグ10位だった。
これまでメキシカンリーグでプレーした日本人選手には、日本で功成り名遂げ、残りの現役生活を海外で送ってみようという者が多かったが、乙坂にとってメキシカンリーグは途中経過でしかない。メキシコに来た理由を、乙坂はきっぱり言いきった。
「目標はメジャーリーグです。そのためにメキシコに来たんです。ここにいるみんながそうだと思います。来年、ここでプレーするかどうかはわかりません。とりあえず、ウインターリーグには参加しますけど」
メジャー傘下のプレーヤーが多く参加するウインターリーグは、メジャー球団にとって格好のショーケースとなる。乙坂の今後は、この舞台で決まるといっても過言ではない。はたして来年、乙坂はどこでプレーするのだろうか。
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