川崎憲次郎が「藤川球児くらいのボールを投げられる」と評した投手など前半戦のセ・リーグで注目した8人 (2ページ目)
野村イズムを思い出させる
ヤクルトOBの川崎氏は現チームに対し、自身もプレーした野村克也監督時代と同じような強さを感じるという。
「ノムさんは『日本シリーズに出た選手は変わる』と言っていました。今のヤクルトを見ていると、その言葉を思い出しますね。
去年のオリックスとの日本シリーズは、過去30年間で最も面白かったと思いました。見ているほうがそう感じるということは、やっているほうはもっと面白い。戦っている最中はきついけど、それを乗り越えて優勝したから余計にうれしさや感動があり、自分たちの成長を感じているはずです」
昨季20年ぶりの日本一に貢献し、今年さらなる飛躍を見せているのが塩見泰隆だ。主に1番に座ってリーグ4位の打率.314、同2位の出塁率.394。12本塁打(11位)、38打点(12位)と長打力もあり、OPS.911は村上(1.133)に次ぐ数字を残している。メジャーリーグで言えば、ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)やホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)のようなリードオフマンぶりだ。
正捕手の中村悠平は下半身の張りで今季開幕に間に合わなかったものの、5月3日の阪神戦で今季初出場を果たした。それ以降、安定感のあるリードと打棒でチームを引っ張っている。
さらに今季台頭したのがショートの長岡秀樹だ。ヤクルトは長らくショートのレギュラーを固定できなかったが、高卒3年目の左打者がポジションを掴んでいるのはチームにとって大きい。ここにも"野村イズム"を感じると川崎氏は続ける。
「ヤクルトが一番ほしかったのは、ショートのレギュラーですよね。センターラインの強化は、ノムさんの野球の基本でした。
そういう意味では投手陣、キャッチャー、セカンド、ショート、センターが完全に固定されたので、これだけの成績を収めています。欲を言えば、先発ピッチャーがもうひとり、ふたりほしいところですね」
ヤクルトは7月上旬に新型コロナウイルスの陽性者が続出し、試合中止に追い込まれる激震に見舞われた。ここまで順調の戦いを続けてきたなか、リーグ連覇を果たせるかは川崎氏の言うように、投手陣に厚みを加えられるかもポイントになりそうだ。
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