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川崎憲次郎が「藤川球児くらいのボールを投げられる」と評した投手など前半戦のセ・リーグで注目した8人 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

昭和にはいなかったタイプ

昨季6年ぶりの最下位に沈んだDeNAは、開幕直後こそ思うように勝てなかった。だが、徐々に戦力を整えて、ついに2位まで浮上を果たした。

 なかでも4番に座り、"セ・リーグの顔"のひとりとなっているのが、大卒2年目の牧秀悟だ。リーグ10位の打率.282、同6位の17本塁打と同4位の59打点、OPS.879はリーグ4位と好調を維持し、オールスターには二塁手部門のファン投票で初選出された。

 川崎氏は、牧が見せる"現代的なアプローチ"に感心する。

「牧はインコースもさばくし、低めを打つのもうまい。今のパワーバッターは引っ張り一本ではなく、広角に打てますよね。昭和の頃にはあまりいなかったタイプです。

 古くなるけど、山本浩二さんや田淵幸一さん、王貞治さんも基本は引っ張りでした。落合博満さんは右に追っつけてホームランを狙ったけど、そのイメージから全体的に変わっていったのかもしれません。牧はうまくひじをたたんで打つし、器用なバッターです」

 DeNAを追いかける3位・広島は、昨年の栗林良吏に続いて今季もルーキーが勝ちパターンを担っている。天理大学からドラフト2位で入団した森浦大輔で、27試合で防御率1.44という安定感だ。川崎氏は投手視線で称賛する。

「ひじの使い方が柔らかいですよね。ストレートは140キロ台後半と速くて、チェンジアップも効いている。どちらも腕の振りが変わらないから、バッターは打ちづらいでしょうね」

 開幕直後につまずいた阪神は、昨季までの守護神ロベルト・スアレスの穴が心配された。だが、クローザーの岩崎優につなぐ湯浅京己の台頭が大きい。独立リーグの富山GRNサンダーバーズ出身右腕は昨季3試合に登板すると、今季は勝ちパターンの8回を託されるほど成長した。川崎氏が「あの投げ方は好き」と注目を寄せるひとりだ。

「腕の使い方がすごく柔らかくて、ひじがすごく上から出てきます。今でも150キロを投げているけど、正直に言うと、球の力強さに欠けるところがまだありますね。もう少し体ができてきて、下半身がうまく使えるようになると、藤川球児くらいのボールを投げられると思います」

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