【WBC2026】大谷翔平が追求する「てっぺん」とは? 9年前の言葉に隠された打撃哲学と「究極のバッティング」
世界中の野球ファンの胸が高鳴る季節がやってきた。国と国が威信をかけてぶつかり合う祭典、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が幕を開けた。球場を包む熱狂と、世界の頂点を巡るドラマ。その中心にいるのは、やはりこの男、大谷翔平だ。
佐々木亨●文 text by Toru Sasakiこの記事に関連する写真を見る
【打率10割の時にはじめて100%と思える】
小皿に掬った豆腐料理が、体の芯まで温めてくれる。師走を迎えていたあの日、「和」を基調とした季節ものに箸をつけながら、言葉を交わす空間にはゆったりとした時間が流れていた。
表情は穏やかだ。ただ一方で、彼の言葉の端々にはたっぷりと熱量が含まれている。日本時代と変わらず、アメリカの地でも投打両方で挑もうとしていた大谷翔平は、こう語っていた。
「メジャーでのその道(二刀流)は、今はまだ見えているようで見えていないと思いますね。教わる先輩もいないですし、自分で一つひとつやるべきことを見つけていかなければいけないものだと思います。そういう意味では今後、同じような選手が出てきた時に『僕はこうやってきた』というものを示すことができると思う。そう考えても、向こうで(二刀流を)やる意味はあると思っています」
大谷は、そこにある風景や野球文化の違い、それらすべてを受け入れながらメジャーリーグに挑もうとしていた。
「何かをやってプラスになること、逆にマイナスになること。成功してプラスになること、マイナスになること。あるいは、失敗してプラスになること、マイナスになること。自分の『やりたい』という要素以外に出てくるいろんなものがそこ(メジャーリーグ)にはあって、それらを全部背負って挑戦しなければいけないと思っています」
覚悟にも似た思いをそう口にしたのは、彼がロサンゼルス・エンゼルスの入団会見を終えた直後である2017年12月のことだった。
日本プロ野球での5年間で、大谷は二刀流に対する懐疑的な目と声を払拭する確かなパフォーマンスと結果を残した。それでも渡米直前に「自分がバッティングでもピッチングでも日本でトップだと思っていません」と語ったように、二刀流を継続する大谷は、投打のさらなる進化を追い求めていた。たとえば「バッティングも"完成"がまだ見えていない」と言いながら、こう言葉を加えた。
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著者プロフィール
佐々木亨 (ささき・とおる)
スポーツライター。1974年岩手県生まれ。雑誌編集者を経て独立。著書に『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』(扶桑社文庫)、『あきらめない街、石巻 その力に俺たちはなる』(ベースボールマガジン社)、共著に『横浜vs.PL学園 松坂大輔と戦った男たちは今』(朝日文庫)などがある。


















