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【WBC2026】大谷翔平が追求する「てっぺん」とは? 9年前の言葉に隠された打撃哲学と「究極のバッティング」 (3ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Toru Sasaki

【「やってみたいな」と思うタイプの人間】

 まだ見ぬ「自分探し」の旅は、アメリカでの戦いでも何ら変わることなく続けているのだろう。「挑みたい」という想いを最優先に、大谷は自らの道を切り開いてきた。海をわたってメジャー2年目のシーズンを終えた晩秋には、自身の「挑戦」する性格と姿勢をこう語っていた。

「良くても悪くても、どんどん変えていくというのは、自分のいいところじゃないかなと思いますね。現状を守りにいかないという性格ではあるので......。まあ、すごくいい状態の時でも、それを維持していこうというよりも、それを超える技術をもうひとつ試してみようかなと思う。挑戦してみようかなというマインドがあるのは、得なところだと思います」

 大谷は、現状に満足しない──周囲からの高い評価は、保守的な思考を生み出す。「これで十分だ」「このまま続けていこう」と。人は変化に対して不安を抱き、失敗を恐れて一歩前へ踏み出せない時がある。本来は進化を求めたいと思っていても、変化に対して臆病になってしまうものだ。大谷自身も、新たな挑戦に一切の不安がないわけではない。

「まったく違う環境に行くということは、どの分野でも不安なことが多いと思う」

 実際にそう語ったことがあるのだが、ただもうひとりの大谷はやはりこう言うのだ。

「さらに自分自身が少しでもよくなる可能性がそこにあったら、僕はチャレンジしてみたい。『やってみたいな』と思うタイプの人間なので」

【野球は"てっぺん"が難しい競技】

 9年前のあの日、大谷は「てっぺん」という言葉を何度も発しながら、想いを語ったものだ。大谷にとっての「てっぺん」とは何か。

「野球はそこが難しい競技だと思っています。たとえば柔道だったら、オリンピックでそれぞれの階級で金メダルを獲れば、その競技のトップに立ったと言えるかもしれませんが、野球に関しては、それが年俸なのか何なのか、難しいところはあると思います。野球はチームスポーツでもあるので、測るものがないというか。ただ、周りから『彼が一番、今まででいい選手だった』という声が聞こえてくる日がいつか来るんだったら、その時が『あっ、ここ(てっぺん)まで来たんだな』と思える瞬間だと思います」

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