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生命の危機を乗り越えた奇跡の子・山﨑福也は崖っぷちオリックスの救世主となるか (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

「手術ができることになって先生から言われたのは、生活に支障の出る後遺症が残る確率は半分。あとは福也くんの生命力にかけますと。もしかしたら、診断を受けた病院で終わっていたかもしれない命だったのが、奇跡的に手術までこぎつけた。この子は強い運を持っている。私も、福也の生命力の強さにかけました」

 3つ目の奇跡は、後遺症もなく、驚異のペースで快復していったことだ。

「高校、大学と全国の舞台に出させていただいて、おかげさまでプロにもドラフト1位で進ませていただきました。もうこれ以上ないほど幸せな野球生活を続けさせてもらって、あとはチームのお役に立てるようなピッチャーになってくれたら......」

 昨年まで、プロ6年間で通算15勝22敗。毎年期待されながら、一軍ローテーションの座を確保しきれないシーズンが続いていた。さすがに「そろそろ本気で危ないな」と思い始めて迎えた今シーズン、マウンドでの投げっぷりがガラリと変わった。

 これまでランナーを出すと、ちょっと落ち着きをなくすようなところがあったが、自ら野手に声をかけ、ボール先行気味だったピッチングもファーストストライクから厳しいコースをつける「凄み」が出てきた。今季は自己最多の8勝をマークし、25年ぶりのリーグ制覇に貢献。

 そして最高峰の舞台である日本シリーズでの登板も有力視されている。ここまでオリックスは1勝3敗と崖っぷちに立たされたが、"奇跡の子"の本領発揮を期待したい。

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