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ヤクルト進撃の裏に早出練習あり。
「1年中キャンプ」で力も自信もUP (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 選手の入れ替えを繰り返しながら、"チーム早出"には計22人の選手が参加した。そのなかでも上田は、もっとも数多くバットを振った選手だ。

「これまで12年間やってきて、これだけ朝早くから、遠征先のホテルでも朝も夜も素振りをして、しかもコーチの人たちも一緒になって練習するのは初めてのことでした。毎日やることでいろんなことに気づけましたし、それを試合で試して結果が出たらうれしい。そういうことの連続で、気がついたらあっという間にシーズン終盤でしたね。あの暑いなかでも一生懸命やれたし、なんていうんですかね......確実に振る力というか、自分の力に絶対なっているということは感じています」

 上田は、遠征先から移動当日ゲームなど早出免除の日には、木谷良平バッティング投手と個人早出でバットを振り込んだ。このフリーバッティングでは追い込まれた状況を想定し、木谷バッティング投手に対して「2-2なんだから、フォークも投げてよ」といった具合に、きわめて実戦的な練習をしていた。

「個人早出の時は自分で見つけた課題に取り組んで、木谷が僕の要望にすべて応えてくれているので助かっています」

 かつて石井コーチは練習中に「剛史に早出のリーダーになってほしいんだよ」と言っていたことがあった。それを上田に伝えると、こんな答えが返ってきた。

「そこは意識してないんですけど、たまに素振りのない日があったりするんですよ。そういう時は、宮本(丈)や廣岡や塩見たちと、『明日は素振りなしだけど、やることやろうぜ』と。一度、『今日はないだろうなぁ』って、素振りをしなかったことがあるんですよ。その時に琢朗さんたちから『オレらが言わなくても勝手にやるぐらいにならないと。やらされているだけじゃ、絶対に伸びないよ』という話をされて、実際にそうだと思いました」

 上田の飛距離が伸びていると感じ始めたのは、交流戦終盤の頃だった。そして8月26日の神宮球場で行なわれた早出では、ロングティーで5球連続フェンスオーバーするなど、力強い打球を連発していた。

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