ヤクルト進撃の裏に早出練習あり。
「1年中キャンプ」で力も自信もUP (3ページ目)
雄平は、打率.318、11本塁打、67打点と、5番打者としてチームに大きく貢献し、シーズンを終えた。雄平が振り返る。
「早出練習のなかに入れてもらえてうれしかったですね。練習にプラスしてバッティングの話もできました。自分が悩んでいる時にコーチたちに相談して、それを解決して試合に臨むことができた。そういう時間は自分にとって財産になるし、今年は調子の波を少なくすることができました。
本当に1年中キャンプでしたが、ケガをしないことを大前提に、試合に出ながら練習ができました。コンディション的なこともあり、早出練習を最後までやり抜けなかったことは残念ですけど、すごく自信になりました。数字は残せましたが、まだまだ満足していません」
石井コーチは雄平について、「信じる者は救われるんです」と言って笑った。
「あいつは自分で練習すると、僕らが『いい加減やめろ』って言うまで振り続けますから。遠征先の宿舎でも暇さえあればバットを振っている。それはすごくいいことで、フォームを固めるには素振りが一番なんですが、ただ考えすぎて自分からドツボにハマることがある。じゃあ、どうせ振るんだったら早出のメンバーと一緒にやれよ、と(笑)」
10月2日、早出練習中に退団が決まった鵜久森淳志と比屋根渉があいさつに訪れた。ふたりとも早出のメンバーで、鵜久森は開幕から一軍登録を抹消される5月31日まで、ほかの選手たちと一緒にバットを振り込んでいた。早出終了後も居残って「シュッ、シュッ」と息を吐きながら、ティーバッティングを続けていた姿は今も印象に残っている。
「(退団会見で)一番の思い出を聞かれて、『昨年の松山での秋季キャンプです』と答えました(笑)。この秋も地獄のキャンプは続くんでしょうね」
鵜久森は、選手たちの練習を眺めながら言った。
「一軍から落とされたら終わりだと、今年は必死にやってきました。そのなかで二軍に落ち、また一軍を目指して変わらずに練習したんですけど......思ったような打球にならなかったり、結果も出ませんでした。自分でも気づかないところで、気持ちが切れていたのかもしれません」
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