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マニー・ラミレス「土佐日記」。
レジェンドが高知で送った幸福な日々 (3ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

「打つ方は見た通り、十分ですよ」

 この日、サイン会に付き合うために高知に来ていたレッドソックス時代の同僚・岡島秀樹は、マニーが目標とするNPB入りに太鼓判を押す。岡島は、マニーが台湾プロ野球で2013年の前期シーズンを過ごしたあと、アメリカに戻り3Aでプレーしたときに対戦しているが、そのときよりも調子がいいと言う。

 監督の駒田徳広も同調する。

「まあ、走る姿はちょっと痛々しいけど、打つ方はさすがですよ。あの年齢であのプレーをするというのは、ウチの若い選手にもいい刺激になります」

 駒田は「この先の契約については、自分の知るところではない」と前置きした上で、マニーが短期間であれ、高知でプレーしたことを「球団の財産」と言い切る。

「それを生かすのかどうかは個々の選手次第ですけどね」

 指導者として、駒田は若い選手に奮起を促すが、その言葉からはメジャーでトップを張ってきた男が高知に来てくれたことへの感謝の念がにじみ出ていた。

 サイン会は、開門と同じ午後4時半に始まった。会場となるネット裏のスタンドには2000人以上の人が並んでいた。「整理券の75枚は絶対保証。あとはマニーの気持ちと時間次第」という、いかにもおおらかな球団の方針で、長蛇の列ができていた。結局、マニーは時間の許す限りペンを走らせ、ファンへの感謝を形にした。

 いつの間にか、内野スタンドは7割ほど埋まっており、高知のベンチがある一塁側はほぼ満席だった。試合前のセレモニーでマニーがグラウンドに姿を現すと、場内の雰囲気は一変した。田舎のリーグに来ても、やっぱりマニーはマニーだった。

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